研究課題/領域番号 |
23K16053
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
吉安 慧人 朝日大学, 歯学部, 非常勤講師 (10968580)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 再石灰化 / S-PRG |
研究開始時の研究の概要 |
小児歯科の臨床において,初期齲蝕病変であるエナメル質の白斑に遭遇する機会は多く,近年では初期齲蝕病変の進行する過程に積極的に関与し,再石灰化させるという一歩踏み込んだ予防処置が求められている.本研究では,フィラーから徐放されたイオンの動態や病変部に及ぼす影響について調べ,本材料によるエナメル質初期齲蝕への再石灰化メカニズムを明らかにする.
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研究実績の概要 |
我々は,S-PRGフィラー含有EVAシートにより作製したマウスガード(MG)とS-PRGフィラー含有ペーストであるPRGプロケアジェルの初期齲蝕病変の再石灰化に対する効果を基礎的実験により調べた.歯牙に人工的に作製した齲蝕病変に,ペーストをS-PRGフィラー含有MGにより作用させ,経時的に病変部の状態をマイクロCTで観察し,ミネラル定量の測定を行った.それによると,control群に比べてPRG MG群とPRG MG-Paste群でのミネラル密度(MD)値の上昇が表層部のみならず病変の内部でも認められた.SEM画像からは,各群において形状の異なる結晶が認められた. さらに,SEM観察で認められた析出結晶の同定と,病巣内部における結晶の同定を透過型電子顕微鏡(TEM)により明らかにし,電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行い,本材料によるエナメル質脱灰病変の再石灰化のメカニズムを結晶学的なアプローチにより解明を試みた. 実験の結果,6週後の再石灰化量は表層100 μmにおいてcontrol群とPRG MG-Paste群間,PRG MG群とPRG MG-Paste群間で有意差を認めた.12週後では,100,200 μmにおいて再石灰化量の平均値はPRG MG-Paste>PRG MG>controlの順で大きくなり,各群間で有意差を認めた.再石灰化率はPRG MG-Paste群23.0±5.4 %,PRG MG群16.1±5.4 %,control群7.1±4.3 %で各群間に有意差を認めた.SEM観察より,再石灰化12週間後のcontrol群は細い針状の結晶で覆われていたが,PRG MG-Paste群では微小な結晶が歯面を覆っていた.EPMA解析より,PRG MG-Paste群からはCa,P,Oに加えてSi,Alが検出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度以降に計画していた実験を行い再石灰化は,表層100,200 μmで顕著であり,表層部の破壊のリスクを減少させることが期待でき,さらにS-PRGフィラー含有MGとペーストを併用することで,病変深部(300 μm)においても効果が認められ,進行した病変では,MGにペーストを併用する方が有効であると考えられた.これらからS-PRGフィラー含有MGが初期齲蝕病変の再石灰化を促進することが明らかになった.この様な結果から,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
まずはこれまでの成果を学会発表や,学術誌への投稿,受理を目指す.研究を遂行する上での課題としては本実験ではS-PRG-ペーストとS-PRG-マウスガードを併用するため,どちらがより効果的か不明である.そのため,S-PRG-ペースト単体の再石灰化効果を調べるために,S-PRGフィラーを含有しないEVAシートで作製したマウスガードの使用も検討する.
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