研究課題/領域番号 |
23K16057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
南澤 宏瑚 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (20897508)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 炭酸アパタイト / 炭酸カルシウム / リン酸カルシウム / 超音波照射 / 骨セメント / 構造制御 |
研究開始時の研究の概要 |
炭酸アパタイトセメントは自己硬化性と骨置換性を併せ持つ画期的な人工骨セメントとして臨床応用が期待されるが、硬化体の圧縮強さが市販のアパタイトセメントに比べて小さいという課題が残されている。本セメントの硬化反応は原料粉体の溶解が起点となるため、原料粉体の構造制御はセメント硬化体の圧縮強さなどの機能性に影響するが、未だ検討はなされていない。そこで、本研究では、①本セメント原料粉体の合成時に超音波を併用し、生成粉体の構造制御を試みる。続いて、②これらを原料として作製した炭酸アパタイトセメントの各種特性評価を行い、最終的に炭酸アパタイトセメントの機能性向上に寄与する原料粉体の構造を明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体内で硬化して骨の無機主成分と同組成である炭酸アパタイトに相変換する炭酸アパタイトセメントは、自己硬化性と骨置換性を併せ持つ骨セメントとして臨床応用が期待される。本セメントは原料粉体の溶解と反応生成物(炭酸アパタイト)の析出により硬化する。これより、この硬化反応は原料粉体の溶解が起点となるため、原料粉体の構造は硬化後のセメントの物性に大きく影響すると予想される。本研究は、炭酸アパタイトセメントの機能性向上に寄与する粉体の構造を明らかにすることを最終目的とし、第1段階として、生成粉体の粒径、形態および結晶構造に及ぼす超音波照射の影響について評価した。 令和5年度の研究では、炭酸アパタイトセメントの原料粉体であるバテライト(炭酸カルシウム)の合成過程に超音波照射を組み込み、生成粉体への影響について調査した。メタノール水溶液と水酸化カルシウム粉末の懸濁液に超音波を照射した後、CO2ガスを吹き込みバテライト粉体の合成を行った。X線回折による結晶相の同定では、全ての条件でバテライトの単一相が確認された。走査型電子顕微鏡による形態観察では、試料は球状または楕円の形状であることが観察された。超音波照射を合成過程に組み込むタイミングを変化させたところ、組み込むタイミングの違いにより、得られた試料の粒子サイズに違いがみられることを確認した。また、本合成法では、懸濁液にCO2ガスを吹き込んだ後、1日静置させることでバテライトが得られ、静置させないとバテライトとカルサイトの混合粉体が得られることを確認している。そこで、静置させずに超音波を照射させたところ、バテライトの単一相が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の研究計画は、炭酸アパタイトセメントの原料粉体であるバテライトとリン酸水素カルシウムを合成する際に超音波を照射し、生成粉体の粒径、形態および結晶構造に及ぼす超音波照射の影響調査であった。しかし、バテライトの合成において、検討すべき項目が多くなり長期間になることが予想され、研究計画を変更しバテライトの合成検討を優先的に行った。そのため、研究計画に記載したリン酸水素カルシウムの合成まで進まなかったことから、進捗状況をやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き昨年度の研究予定であった超音波照射を用いたリン酸水素カルシウムの合成とバテライトの合成の続きを行う予定である。また、原料粉体を合成しつつ、随時炭酸アパタイトセメントを作製し、はじめに硬化時間や稠度などの基本性質を評価する予定である。
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