研究課題/領域番号 |
23K16088
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森口 大輔 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10910789)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 顎関節症 / 慢性疼痛 / ゲノム解析 / 中枢性感作 / 一塩基多型 / 動的定量的感覚検査 |
研究開始時の研究の概要 |
顎関節症による慢性疼痛は患者QOLを著しく低下させる.慢性疼痛に関わる一塩基多型(SNP)の存在が明らかになってきた.また,慢性疼痛に重要な概念の一つとして中枢性感作があり,SNPが中枢性感作と関連していることが考えられるが,調査した報告はほとんど存在しない.動的定量的感覚検査(Dynamic QST)を用いて中枢性感作を同定し,中枢性感作と関連のあるSNPを調査することで,慢性疼痛のメカニズムを解明することが期待できる.本研究の目的は,顎関節症のみならず多数の慢性疼痛疾患に対して重要な概念である中枢性感作を取り上げ,中枢性感作に影響を与える遺伝的素因を探索することである.
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研究実績の概要 |
顎関節症による疼痛は,顎関節部や咀嚼筋部などに生じ,患者の生活の質を悪化させる要因の一つである.近年ゲノムワイド関連解析により,慢性顎関節症患者に関連する遺伝子が明らかとなった.しかし,顎関節症に影響を与えている関節円板転位や下顎頭骨変化などが考慮されずに遺伝的素因に関する調査が行われているのが現状である.そこで本研究では,MRI画像検査を実施した顎関節症患者の遺伝子を採取し,関節円板転位ならびに下顎頭骨変化の影響を調整した上で,疼痛関連遺伝子が顎関節症患者の疼痛に与える影響について検討を行った. 大阪大学歯学部附属病院口腔補綴科に顎関節症を主訴に来院された患者150名に対してDC/TMDを用いた臨床検査,MRI撮像、ゲノム採取を行った.臨床検査の結果から,被験者を疼痛なし群,咀嚼筋痛群,顎関節痛群,咀嚼筋痛および顎関節痛群の4群に分類した.ゲノムは被験者の頬粘膜からFLOQSwabsを用いて,非侵襲的に採取した.予備調査として過去の論文で疼痛関連遺伝子と報告されている遺伝子群における一塩基多型(SNP)についてマイクロアレイによるgenotypingを実施した. 統計解析の従属変数は疼痛なし群,咀嚼筋痛群,顎関節痛群,咀嚼筋痛および顎関節痛群の4群とし,説明変数を各genotype,変形性顎関節症の有無,円板転位の有無,円板復位の有無,年齢,性別とした多項ロジスティック回帰分析を行った.その結果,顎関節症を原因とする疼痛のリスクアレルとして,XX遺伝子の領域に存在する2ヶ所のSNPが検出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,150名近くの顎関節症患者よりゲノム資料が収集できており,順調に進んでいる.また,全ての被験者に対し臨床検査による疼痛検査が実施できている状態である.予備調査により,顎関節症による慢性疼痛に関われ遺伝子の候補が明らかになった.候補遺伝子についてはin silicoの研究により詳細に検討していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後予定している被験者数まで慢性疼痛患者のデータ収集を継続しする.また慢性疼痛患者と同じ性別の割合かつ同じ年齢層の健康成人より同様にゲノムを含めたデータ収集を行う.予定している被験者が獲得できたら最終的なゲノム解析を実施する.
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