研究課題/領域番号 |
23K16116
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤本 磨希 岡山大学, 大学病院, 医員 (00935108)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炎症性神経障害性疼痛 / ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ / 15d-PGJ2 / 神経障害性疼痛 / ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体 / デクスメデトミジン |
研究開始時の研究の概要 |
口腔外科手術などの観血的処置後の術後疼痛は、炎症性疼痛から神経障害性疼痛に移行して慢性疼痛に陥り、患者の生活の質を低下させる。そのメカニズムと治療について多くの研究が行われてきたが、それらは複雑であり、十分に解明されていない。炎症反応を抑制する作用を持つペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γは、神経障害性疼痛の制御にも関与していることが最近知られている。そこで、本研究ではペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γのアゴニストを局所投与した際の疼痛制御および抗炎症作用との関連を評価することを目的としている。
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研究実績の概要 |
口腔外科手術などの観血的処置後の術後疼痛は、炎症性疼痛から神経障害性疼痛に移行して慢性疼痛に陥ることがあるため、炎症で惹起される神経障害性疼痛を早期に制御することは術後の回復のためにも重要な課題である。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)は神経障害性疼痛の制御に関与していることが報告されている。そこで本研究では神経障害性疼痛の動物モデルを用いたin vivo実験でPPARγアゴニストを局所投与した際の疼痛制御および抗炎症作用との関連を評価することを目的とした。 2023年度は、岡山大学動物実験委員会の承認を受け、炎症性神経障害の動物モデル作成の確立を行った。そして局所投与されたPPARγアゴニストの疼痛制御効果を検証するために、起炎物質の一つであるカラゲニンをラットの後肢足蹠に局所投与することで急性炎症を誘導し、これに対してPPARγの内因性アゴニストである15-デオキシ-△12, 14-PGJ2(15d-PGJ2)が鎮痛効果を発揮するかを検証した。 生食群、カラゲニン群、カラゲニン+15d-PGJ2群の3群に分け、8週齢のSDラットにイソフルラン吸入による麻酔後、27G針付きシリンジで後肢足蹠皮下にそれぞれの薬液を局所投与した。薬液投与後にvon Frey filament法(ラットの足底に専用のfilamentが曲がるまで押しつけ、動物が足を上げる機械刺激の閾値を測定する方法)を用いて50%疼痛閾値を測定し、鎮痛効果を検討した。カラゲニンのみの群では薬液投与後に疼痛閾値の低下が認められた。一方で、カラゲニン+15d-PGJ2群では薬液投与後の疼痛閾値の低下は大きくなく、15d-PGJ2の添加がカラゲニンによる疼痛閾値の低下を抑制する傾向が認められた。この結果から、15d-PGJ2の局所投与はカラゲニンで誘導される炎症性疼痛抑制効果を有する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通りに研究を遂行することができた。2023年度はまず環境を整備し炎症性神経障害の動物モデルの確立を行った。その後ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニストの局所投与が炎症性疼痛に対して効果があるかどうかの検証を行い、内因性PPARγアゴニストである15-デオキシ-△12, 14-PGJ2(15d-PGJ2)がカラゲニンで誘導される炎症性疼痛抑制効果を有する可能性が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の活性化と抗炎症作用および神経障害性疼痛制御効果との関連性を検証するため、PPARγのアンタゴニストである試薬を混入した試験薬を投与し、疼痛閾値(痛覚過敏)への影響を評価する。また、PPARγアゴニストの抗炎症作用を、薬液投与部位の皮下組織サンプルを用いて、免疫組織学的に評価する予定である。
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