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酪酸によるエピゲノム変化を介した口腔癌の進展機序の解明と新規治療法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 23K16124
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分57060:外科系歯学関連
研究機関熊本大学

研究代表者

永尾 優果  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (80908773)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワード口腔癌 / 口腔内細菌 / 短鎖脂肪酸 / エピゲノム
研究開始時の研究の概要

近年、腸内細菌と全身の健康との関係が着目され、腸内細菌の産生する酪酸が特に注目されている。腸内細菌の研究の発展に伴って、口腔細菌も着目され始めており、口腔細菌にも腸内同様に酪酸を産生する菌が存在していることが分かっている。さらに、口腔癌患者と健常者間には口腔細菌叢に違いがあるといわれており、口腔細菌が産生する酪酸が口腔癌の発生や進展に何らかの影響を与えている可能性が考えられるが、その機序については明らかになっていない。本研究では口腔細菌由来の酪酸によるエピゲノム変化を介した口腔癌の発生や進展に関する機序を解明し、新規治療法の創出を目指す。

研究実績の概要

2023年度はvitroでの研究をメインに進めた。口腔癌細胞2種において、通常培養下、低酸素培養下、低栄養(低グルコ ース濃度)培養下での細胞培養を行い細胞増殖能の変化を解析した。そのうち低酸素培養下、低栄養培養下では、細胞にとって過酷な条件下であり細胞死を迎えることも多かった。それぞれの条件下に酪酸の刺激を加え、周囲環境に酪酸刺激が加わった際の細胞増殖能の変化を解析した。その結果、酪酸刺激の有無によって口腔癌細胞の周囲環境に対する増殖能に変化があることが分かった。遊走能、浸潤能については、低酸素培養下、低栄養培養下自体が細胞については上記のように細胞にとって過酷な環境であるため、より綿密な実験計画や慎重な実験が必要であり、一定した結果を得るのに難渋している。
これ以降は、細胞増殖能解析にてメインに解析を行う酪酸濃度を決定し解析を進めている。
酪酸刺激によるグルコース代謝機能の変化についてはフラックスアナライザーによって解析しており一定の結果を得ている。
ゲノム解析については、細胞培養環境下でのmRNAを抽出し、RNA-seq法にて網羅的な遺伝子発現解析を行った。、変化した遺伝子についてはGO解析やパスウェイ解析にて、酪酸刺激により変化した遺伝子プロファイルを作成した。
またエピゲノム変化についてはヒストンH3の9番目および27番目リジンのアセチル化(H3K9Ac、H3K27Ac)に着目し酪酸刺激の有無によりヒストンのアセチル化タンパク質の変化をウエスタンブロッド法にて解析し酪酸刺激によりアセチル化変化が起こることを確認している。
一方、vivo研究についても少しずつ進めており、口腔癌患者の唾液サンプルを部位別・病期別に分類しガスクロマトグラフィーにて唾液中の短鎖脂肪酸濃度を算出した。短鎖脂肪酸濃度と病態との関連については現在解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度はvitro研究をメインに進めるのを目標としていた。ある程度の結果は得られているが、低酸素培養下、低栄養培養下自体が細胞については過酷な状況であり、容易に細胞死を迎えてしまう。
より綿密な実験計画が必要であり、実験の結果を得るのに難渋していおり解析できていない細胞動態もある。
また、エピゲノム解析においてはまず酪酸濃度を決定するのに時間を要した。酪酸も濃度が高すぎると細胞死を迎えてしまうので濃度決定については慎重に行った。また酪酸の有無によるChIP-seq解析を行う予定としていたが、サンプルの採取に時間を要しており、解析にまでは及んでいない。
一方、vivoサンプルが予想よりも早めに回収できたこともあり、2024年に行う予定であった唾液中の短鎖脂肪酸濃度については2023年中に解析できている。
以上より、vitro解析でのサンプル採取に時間を要しており遅延もあるが2024年施行予定であった解析も一部開始しており軽度の遅れにとどまっていると考える。

今後の研究の推進方策

vitro実験についてはまず低酸素培養下、低栄養培養下において細胞死が惹起されない程度の条件下で遊走能や浸潤能の解析ができるよう、再度綿密な計画を立てるとともに、実験の必要性について検討を行う。またChIP-seq解析については酪酸刺激の濃度がすでに決定しており、サンプルを回収できる準備は整っているが、サンプル回収に時間を要するため、可及的早期に回収に取り組む必要がある。
さらに、唾液中の短鎖脂肪酸濃度結果と病態との比較検討を行う一方でvitroでの一定した結果を得られた時点ですぐにvivo解析が開始できるようにPDXモデルマウスの準備を進めておく必要がある。具体的には酪酸刺激の濃度や投与方法、観察タイミング等の計画も早期から立てておく必要がある。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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