研究課題/領域番号 |
23K16137
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
河端 和音 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10908156)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 中枢性感作 / サーマルグリル錯覚 / 三叉神経 / しびれ / Dysesthesia / 三叉神経ニューロパチー |
研究開始時の研究の概要 |
口腔顔面領域のしびれは、歯科治療や手術、外傷等で三叉神経が障害されると発症する。神経損傷後初期は感覚鈍麻を生じ、その後しびれ等の異常感覚を生じる。しびれは感覚鈍麻の改善後も長期間残存し、慢性化することも多い。また、口腔顔面領域の感覚情報処理精度は他部位よりも格段に高いため、しびれの症状を強く感知してしまう傾向にあり、患者の苦痛は強く、QOLの低下が著しい。しかし、しびれの慢性化メカニズムについては判明していない。近年、痛みや睡眠障害、胃腸症状の慢性化には中枢性感作の影響が示されてきた。そこで本研究ではサーマルグリル錯覚と質問紙を用いて中枢性感作を評価し、慢性化したしびれへの影響を検討する。
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研究実績の概要 |
三叉神経領域に疼痛や異常感覚のない健常成人ボランティア25名を対象にサーマルグリル錯覚(Thermal grill illusion:TGI)が三叉神経領域内で惹起されるか検討した。TGI誘発装置(intercross-220)の3枚の温度変化する金属プレート部分を三叉神経領域を測定するために可動式に改良した装置を使用した。全ての測定は基準温度である32℃から開始した。被験者には事前に中枢性感作と気分状態に関連した質問紙である CSI (Central Sensitization Inventory)とPOMS2 (Profile of Mood States 2nd Edition)に回答してもらった。まず、40℃の単一刺激 、20℃の単一刺激 、20℃/ 40℃/ 20℃のTGI刺激を被験者に各々20秒間与え、誘発された感覚(熱冷感、不快感、痛み)をVASで評価した。さらに、温度が0.5℃/秒で上昇する(冷プレート20℃で固定)TGI刺激を与え、痛みを感じた時点でボタンを押すように指示し、基準温度からの温度差ΔTを測定した。得られたデータから3種類の温度刺激によって誘発された刺激のVASを比較した。さらに、CSI、POMS、温冷感覚のΔT (TGIによる痛みの閾値)への影響を検討した。結果は、熱刺激や冷刺激による単一刺激と比較して、TGIによる刺激は痛みや不快感が有意に高値となった。CSIおよびPOMSのスコアが高値になるとΔTが低下した。また20℃冷刺激に対する感度が高いとΔTが低下したが、40℃温刺激の感度はΔTに影響を及ぼさなかった。 以上より、三叉神経領域においてTGIが誘発できること、さらに冷覚や中枢性感作症状の強さ、ネガティブな気分状態がTGIに影響を及ぼすことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常成人ボランティアでのデータ収集は完了しているが、三叉神経領域に慢性的なしびれを有する患者のデータ収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
三叉神経領域に慢性的なしびれを有する患者だけでなく慢性疼痛を有する患者にも対象者を拡大する。また、三叉神経領域と脊髄神経領域の比較も行う。
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