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口腔癌と内臓脂肪型肥満の間に生じる組織学的分化度依存的なネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K16141
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分57060:外科系歯学関連
研究機関群馬大学

研究代表者

喜名 美香  群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (80578914)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード口腔癌 / 内臓脂肪型肥満 / 組織学的分化度 / BMI / 口腔扁平上皮癌
研究開始時の研究の概要

口腔癌の発症、進展に肥満がどのように関与しているか、その詳細は未だ不明である。
研究代表者は、肥満の影響を最も受ける口腔癌のタイプを、口腔癌患者のBody Mass Index (以下 BMI)を元に調査している。群馬大学病院歯科口腔外科を受診した口腔癌患者のうち、男性の口腔扁平上皮癌(OSCC)患者においてBMI が29(kg/m2)を超える患者では、29未満の患者と比較して低中分化型の割合が有意に高くなっていた(18% → 75%)。本研究では、内臓脂肪からの酸化ストレスに対して、組織学的分化度により口腔癌の応答性に相違があると仮説をたて、口腔癌と内臓脂肪型肥満の間に生じている組織学的分化度依存的なネットワークの解明を目指す。

研究実績の概要

本研究は、内臓脂肪の蓄積と口腔癌との間で構築されるネットワークが、口腔癌の組織学的分化度によって異なっていると仮説を立て、口腔癌の発症や進展に肥満がどのように関与しているかを明らかにすることを目的としている。
これまでに、男性においてはBMI が29 を超える口腔扁平上皮癌患者では、BMI29 未満の患者と比較して、低中分化型腫瘍の割合が有意に高くなっていることを確認している。TCGA(The Cancer Genome Atlas) で公表されている頭頸部扁平上皮癌患者のデータを用いた分化度依存的な遺伝子発現解析から、アディポカインの一つであるリポカリン2 (LCN2) は、高分化型において高発現していることを見出している。今回、さらに、高分化型腫瘍特異的にアディポカインLCN2(血管新生抑制遺伝子、食欲抑制遺伝子)が腫瘍検体の免疫組織染色においても、高くなっていることを確認した。つまり、組織学的分化度が高いと、食欲抑制因子の発現が有意に高くなり、BMIが低い傾向にあることが示唆された。
また、組織学的分化度に依存なく、BMIが25以上の患者(25≦)において多変量解析で頸部再発が起こりやすい(p=0.18)傾向が認められた(Kina.S et al. Am J Cancer Res 2024;14(3):1033-1051)。
さらに、高分化型の口腔癌細胞株にWnt/β-catenin阻害薬を加えるとLCN2が減少したことから、LCN2の発現にはWnt/β-catenin経路が関与していることが示唆された(Kina.S et al. Am J Cancer Res 2024;14(3):1033-1051)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、内臓脂肪からの酸化ストレスに対して、組織学的分化度により口腔癌の応答性に相違があると仮説をたて、口腔癌と内臓脂肪型肥満の間に生じている組織学的分化度依存的なネットワークの解明を目指しており、そのネットワークを構築する因子の一つに、LCN2の関連が示唆されている。
しかし、口腔がん患者の血液中のLCN2量とBMIとの関連性の解析には至っていないため、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

これまでに、男性においてはBMI が29 を超えるOSCC患者では、BMI29 未満の患者と比較して、低中分化型腫瘍の割合が有意に高くなっていることを確認しており、BMIが25以上の患者(25≦)において、多変量解析で頸部再発が起こりやすい(p=0.18)傾向があり、引き続き、データ解析を含め検討していく。
また、癌のリスクファクターである喫煙との関連もデータ解析しているところである。
男性低中分化型腫瘍組織においては、高分化型腫瘍と比較して、肥満者の血中に高濃度で検出されるIL-6 の量も高くなっていることも確認されている。このことから、男性低中分化型OSCCは、内臓脂肪型肥満により発癌あるいは進展が促されているのではないかと予測している。IL-6 は血管新生因子でもあり、肥満が口腔癌の予後不良因子となっている詳細なメカニズムを解明することも期待でき、口腔癌患者の血中のIL-6、LCN2と組織学的分化度の相関を検討する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Higher overall survival rates of oral squamous cell carcinoma treated with metronomic neoadjuvant chemotherapy2024

    • 著者名/発表者名
      Shinichiro Kina , Sho Miyamoto , Reika Kawabata-Iwakawa , Mika Kina-Tanada , Masaru Ogawa , Satoshi Yokoo
    • 雑誌名

      American Journal of Cancer Research

      巻: 14 号: 3 ページ: 1033-1051

    • DOI

      10.62347/eynt8387

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 耳下腺の基底細胞腺腫摘出から長期経過後に上唇に認められた基底細胞腺腫の一例 ーWnt/β-cateninシグナル経路異常の観点からー2023

    • 著者名/発表者名
      喜名美香,高山 優 ,金 舞,齋藤恵実,近松一朗,横尾 聡
    • 学会等名
      第77回NPO法人 日本口腔科学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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