研究課題/領域番号 |
23K16144
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松川 誠 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (70845859)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 顔面歯槽複合モデル / 唇顎口蓋裂 / 術前鼻歯槽矯正 |
研究開始時の研究の概要 |
Pre Surgical Naso Alveolar Moldingを用いた術前鼻歯槽矯正治療は、顎裂の縮小や鼻翼の変形に対し一定の効果を認めている。しかしながら、新生児・乳児の顔面および口腔の資料採得の難しさから、シミュレーションを行うことができず、治療効果は術者の経験に寄り差が生じうる。本研究では新生児・乳児において顔面・口腔の情報を含んだ顔面歯槽複合モデルを作成し、コンピューター上でシミュレーションを行ったうえでPNAM治療を行い、より良好な治療効果を得ることを目的とし、経験の多寡にかかわらず 術前鼻歯槽矯正が可能となるような治療プロトコールを確立させる。
(本文)
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研究実績の概要 |
①顔面歯槽モデルの有用性の評価 三次元顔貌写真と光学印象により得られた鼻歯槽形態のデジタルデータを重ね合わせて作成した顔面歯槽統合モデルをMDCT三次元構築画像データと重ね合わせることにより、顔面歯槽モデルの顔面頭蓋に対する上顎歯槽、口蓋の位置の正確性について評価し、その有用性を検討した。三次元顔貌写真(VECTRA HI)、光学スキャナ(Medit i700)にて得られた歯列歯槽形態データをバーチャルプランニングソフト(PROPLAN CMF)を用いて統合し、顔面歯槽モデルを作製した。MDCT三次元構築画像を顔面歯槽モデル軟組織を基準にバーチャルプランニングソフト(PROPLAN CMF)を用いて重ね合わせを行った。その結果、顔面歯槽統合モデルとMDCT三次元構築画像データのずれは0.6mm以内と非常に近似しており、顔面歯槽モデルにおける頭蓋顔面に対する上顎歯槽や口蓋の位置はMDCT3次元画像とほぼ同等の正確性を示し、有用であることが示された。 ②片側唇顎口蓋裂(CLP)患児における顎顔面形態の特徴 大阪大学歯学部附属病院口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センターを受診した片側性 CLP一次症例8例および非CLP症例4例(口蓋裂3例、健常児1例)を対象とした。CLP患者については術前治療前後に、非CLP症例については同月齢に顔面歯槽モデルを作製した。非CLP群では、出生直後の歯槽突起の垂直的な偏移は0.5 mm以下であるのに対し、CLP群では裂側の歯槽突起は、犬歯窩で2.40±2.08mm、上顎結節点で1.60±1.48mm頭側に偏位していることが明らかとなった。さらに歯槽突起と同様に口角点に関しても裂側の方が非裂側より頭側に偏位していた。さらにCLP群では術前鼻歯槽矯正によってり歯槽突起および口裂の垂直的偏位が改善する傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学歯学部附属病院口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センターを受診している患者は概ね本研究に協力的である。理由としては本研究に侵襲的な要素がないこと、また治療経過が明確に視覚的に示せるようになったからと思われる。
2023年度中に顔面歯槽モデルの有用性やさらに鼻歯槽モデルを作製することで従来では正確に把握することができなかった唇顎口蓋裂患児における顎顔面形態の特徴が明らかにすることができた。今後は従来の術前鼻歯槽矯正治療のノウハウに今回明らかとなった特徴を統合したバーチャルプランニングを行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
術前鼻歯槽矯正治療対象者に対して初診時(生後0ヵ月)に顔面歯槽モデルを作成して顔面に対する歯槽の偏位を是正した歯槽形態のバーチャルプランニングを行う。プランニングに沿った口腔内装置を CAD/CAMシステムを用いて作製する。口唇形成術直前まで口腔内装置を適宜交換しながら、鼻歯槽矯正を行う。生後1か月、2か月、3か月時点で顔面歯槽複合モデルを作成し、プランニングに沿った歯槽の誘導ができているか検証を行う 。
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