研究課題/領域番号 |
23K16156
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
四道 玲奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80827618)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Tiny-LNA / micro RNA / Tiny LNA / microRNA / GAM |
研究開始時の研究の概要 |
これまで研究代表者らは、pDNAなどの遺伝子やmiRNAなどの核酸医薬を応用した骨誘導型GAM(gene activated matrix)の開発を試みてきた。低容量で効果的な骨形成能を発揮したが、臨床応用可能なGAMの開発には至っていない。そこで、長崎大学薬学部が開発した臓器指向性にmiRNAの機能を阻害するアンチセンス核酸(Tiny-LNA:8塩基程度の小さな核酸医薬)を人工骨基質によって局所に送達することで、強い骨誘導能を発揮する高機能骨誘導型GAMを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、micro(mi)RNAの機能を阻害するLocked nucleic acid(LNA)といった化学修飾オリゴヌクレオチドを搭載した、局所で強い骨誘導性を発揮する新規遺伝子活性化基質(gene activated matrix:GAM)を開発することである。これまでに申請者らは、骨形成に関与するplasmid(p) DNAや複数の遺伝子を同時に制御することが可能なmiRNAを搭載したGAMの開発を試みてきた。複数の遺伝子を同時に制御することが可能なmiRNAは、低容量で効果的な骨形成能を発揮したが、臨床応用可能な高機能なGAMの開発には至っていない。一方、アンチセンス核酸は多くのRNAの機能を制御しており、近年様々なアンチセンス核酸医薬の臨床試験が進行されている。長崎大学薬学部では、臓器指向性にmiRNAのseed sequence特異的に強力に結合し、その機能を阻害するTiny -Locked Nucleic Acid(Tiny-LNA:8塩基程度の小さな核酸医薬)の開発に成功している。そこで、本研究では骨形成制御に関与するmiRNAの機能を阻害するTiny-LNAを人工骨基質によって局所に送達することで、強い骨誘導能を発揮する新規GAMの開発を試みる。申請者らの以前の研究で、mi R20aが複数の遺伝子発現を制御することで高い骨誘導能を発揮することが示唆されている。これらの研究方法をもとにMSCの骨芽細胞分化中に変化するmiRNAを網羅的解析を行い、骨形成抑制に関与するmiRNAについて検討予定で、現在条件の検討中である。それぞれのmiRNAに対するtinyLNAを作成し、それらの骨芽細胞分化に及ぼす影響を解析予定である。In vitroで最も効果の高いTiny LNAに関して移植実験を行いin vivoでのGAMの有効性について評価を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在MSCの骨芽細胞分化中のmiRNAの発現変化を網羅的に解析予定であるが、培養期間や分化方法などの条件設定に時間を要している。miRNAの網羅的解析を行うと同時に、まずは候補となるmiRNAに関して文献的検索を行い、GAMの移植条件を検索中である。また骨形成のみならず、組織修復に必要な血管新生能や抗炎症能に関与する多機能なmiRNAを検索中である。GAM移植後に集積すると考えられる骨髄由来MSC及びマクロファージ、血管内皮細胞などの単離、培養、分化までの培養方法の安定性が難しく、現在確立を行っているところである。またGAM作成時の凍結乾燥や、基質と混和した際のTiny-LNAの安定性に関して条件を検討する必要がある。これまで申請者らが開発したatelocollagenを基本とした基質では、移植後の脆弱さが問題となっていたため、加工方法やそれに代わる基質の検索も行なっている。さらに核酸医薬品の安全性の面で重要と考えられるmiRNAのオフターゲット効果を起こさない搭載遺伝子量の条件や評価時期について検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MSCの骨芽細胞分化誘導の培養条件や分化方法などの条件を検討する。さらに移植後に集積すると考えられるマクロファージや血管内皮細胞の単離、培養、分化方法について検討を行う。候補となるmiRNAを網羅的に検索し、骨芽細胞分化を抑制するまたは組織修復を抑制、炎症の惹起に関与するmiRNA数種類決定し、これらのmiRNAを抑制するTiny-LNAを作成する。候補となるTiny-LNAをin vitroでMSC、マクロファージ、血管内皮細胞に導入し、それらの機能解析を行う。 一方で、移植単体の作成方法として、これまでに申請者らが開発したGAMの作成方法でのTiny-LNAの安定性について検討が必要である。また申請者らが開発したatelocollagenを基本とした基質では、Atelocollagen基質の脆弱さが課題であり、この点についても今後改良が必要である。また長崎大学薬学部の研究者らにより糖分子を付与することで、臓器指向性の高いTiny-LNAが開発されており、局所でも効果を発揮する条件について検討が必要である。また核酸医薬品の開発を目指しており、生体への安全性を評価するために、有害事象について検討する必要があり、オフターゲット効果を考慮した搭載遺伝子量を検討することが重要である。
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