研究課題/領域番号 |
23K16167
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
稲田 大佳暢 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80909119)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 下歯槽神経 / 機械的痛覚閾値 / 熱痛覚閾値 / オートファジー / シュワン細胞 / ラパマイシン |
研究開始時の研究の概要 |
顎矯正手術や下顎智歯抜歯術の術後合併症として高い頻度で下歯槽神経損傷による知覚異常が発症するため,治療方法の確立が社会的に広く求められている。mTOR阻害剤によるシュワン細胞のオートファジーの活性化は,末梢神経損傷後に生じる断片化したミエリン(神経再生阻害因子)の効率的な除去に関与することが報告されている。本研究は,生体吸収性ゼラチンハイドロゲルを用いたmTOR阻害剤の持続投与がオートファジーに及ぼす影響を解析し,オートファジーの活性化による効率的な末梢神経再生法を検討することで, 末梢神経損傷に伴う知覚異常に対する新機軸の治療法開発に寄与することを目的としている。
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研究実績の概要 |
研究計画において令和5~6年度の到達目標は①可歯槽神経損傷モデルの作成,②下歯槽神経損傷モデルによるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析,③下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析であった。 下歯槽神経損傷モデルの作成については,SD系雄性ラット(6週齢)の顔面部皮膚に15mmの切開を加え,下顎骨を削除して三叉神経第三枝の枝である下歯槽神経を剖出させ,下歯槽神経を5mm切除し,止血確認後に切開部を縫合したものを下歯槽神経損傷群とした。一方,下歯槽神経の剖出のみを行った群をsham群とした。現段階でこれらの実験モデルの作成手法の確立が出来ており,今後の実験に際して実験モデルを速やかに作成することが可能となった。 下歯槽神経損傷モデルにおけるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析については,機械刺激装置(デジタルフォンフライ)を使用し,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値を測定した。また,輻射熱刺激装置を使用して熱痛覚閾値も測定した。測定を行う時間帯,個体差および麻酔深度により数値のばらつきが大きく,研究開始当初は測定値の信憑性が低かったが,実験施行の時間帯を統一し,麻酔深度の調節やラットの体重を合わせることで疼痛閾値の数値が安定し実験手法の確立ができた。 下歯槽神経損傷モデルにおいて,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値はsham群と比較して有意に高い値を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械刺激装置(デジタルフォンフライ)を使用して,下歯槽神経の末枝であるオトガイ神経の支配領域(オトガイ部)の機械的痛覚閾値を測定する際の測定を行う時間帯,個体差および麻酔深度により数値のばらつきが大きく,研究開始当初は測定値の信憑性が低く,適正な麻酔深度を設定するまでに時間を必要とした。しかし,令和5~6年度の目標である①可歯槽神経損傷モデルの作成,②下歯槽神経損傷モデルによるオトガイ神経知覚異常の行動薬理学的解析,③下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析のうち①②は令和5年度中に達成できており,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定していた令和5~6年度中の目標のうち,未達成の下歯槽神経損傷モデルにおけるオートファジーの形態学的解析については,予定通り,透過型電子顕微鏡を用いたシュワン細胞に形成されるオートファゴソームやミエリン断片の局在の観察を速やかに実行する。 令和7年度以降に予定していた下歯槽神経損傷モデルへのmTOR阻害剤持続投与効果の解析についても既に開始可能な段階のため,予定よりも早期に実験を開始する。
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