研究課題/領域番号 |
23K16192
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
田中 亜生 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80843573)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 生活歯髄切断 / 乳歯 / MTA / TRPチャネル / TRPA1チャネル / 象牙芽細胞 / 水酸化カルシウム製剤 / dentin bridge |
研究開始時の研究の概要 |
近年、生活歯髄切断後にMTA を貼付することで、臨床的に良好な結果が得られることが報告されている。アルカリ刺激により培養象牙芽細胞に発現するTRPA1チャネルが活性化し、象牙芽細胞の硬組織形成能を促進することが報告されているが、臨床で使用している覆髄材がTRPA1チャネルを活性化し、象牙芽細胞の硬組織形成能を促進するかは不明である。本研究は、覆髄材成分を含む培地で培養した象牙芽細胞においてTRPA1チャネルの発現を解析し、覆髄材がTRPA1チャネルを活性化させ硬組織が形成されるのか、また水酸化カルシウム製剤よりMTAの方がTRPA1チャネルを強く活性化させるのかを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
生活歯髄切断後にmineral trioxide aggregate(MTA)を貼付することで、臨床的に良好な結果が得られていることが報告されている。また、アルカリ刺激により成熟した培養象牙芽細胞に発現するtransient receptor potential ankyrin(TRPA)1チャネルが活性化し、象牙芽細胞の硬組織形成能を促進することが報告されている。しかし、これらは水酸化ナトリウム溶液を使用しアルカリ環境下にした結果であり、実際に臨床で使用されている覆髄剤がTRPA1チャネルを活性化し、象牙芽細胞の硬組織形成能を促進するかは不明である。 本研究では実際に臨床で使用されている覆髄剤がTRPA1チャネルを活性化させ、硬組織が形成されるのか、また水酸化カルシウム製剤よりMTAの方がTRPA1チャネルを強く活性化させるのかを明らかにすることを目的とする。本研究で、生活歯髄切断法で良好な結果を得るには、TRPA1チャネルの活性化が1つの因子であることが明らかになることを創造している。 今年度、生後7週齢Wistar系ラットの上顎第一臼歯に、水酸化カルシウム製剤およびMTAを用いて生活歯髄切断を行った。背術4週後、マイクロCTにて根尖性歯周炎がないこと、歯根が成長していること、および根尖が閉鎖していることで歯髄の生存を確認した。HE染色にて、覆髄剤直下にdentin bridgeが形成されていることを認めたため、多重蛍光免疫染色にてdentin bridge直下の象牙芽細胞におけるTRPA1チャネルの発現について検索したところ、DSPP陽性細胞にTRPA1チャネルに陽性反応を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、生活歯髄切断後に形成されるdentin bridge直下の象牙芽細胞において、TRPA1チャネルの発現に関するデータを取得している。令和5年度に予定していた内容は①in vitroにおいて、覆髄材を用いて培養した象牙芽細胞の硬組織形成能の評価、②in vitroにおいて、覆髄材を用いて培養した象牙芽細胞におけるTRPA1チャネルの発現検索、③in vitroにいて、覆髄材を用いて培養した象牙芽細胞におけるTRPA1チャネル遺伝子発現の定量化、である。 本年度では生活歯髄切断のモデルラットが既に2体存在していたため、それらを用いて本来令和6年度および令和7年度に予定していたin vivo実験(dentin bridge直下の象牙芽細胞におけるTRPA1チャネルの発現検索)を優先して行った。仮説していた通り、TRPA1チャネルは発現しているため、水酸化カルシウム製剤およびMTAで比較検討していくことを実地中である。また、MTAについては当初より複数種類の材料を用いて比較検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、覆髄剤がTRPA1チャネルを活性化させ硬組織が形成されるのか、また水酸化カルシウム製剤よりMTAの方がTRPA1チャネルを強く活性化させるのかについて検索している。本年度では上記理由によりin vivo実験を優先して行ったが、次年度からは当初の予定通りin vitro実験を行う予定である。長期的にはTRPA1チャネルのアゴニストを覆髄材成分に含有させることで、より確実にdentin birdgeを形成でき、生活歯髄切断法の成功率が上昇する薬剤開発を行いたいと考えている。
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