研究課題/領域番号 |
23K16196
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小笠原 毅 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (50844669)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 歯科矯正学 / 矯正学的歯の移動 / デジタルアナトミー / 歯根膜 / 3Dプリンター / 有限要素解析 / メカノトランスダクション |
研究開始時の研究の概要 |
本申請ではヒト抜去歯と、生体の構造を精密に再現した造形物を出力する「デジタルアナトミー技術」の統合による新規構想の実験系を確立する。生体内(vivo)を再現(repro)するこの実験系を”repro vivo”実験系と定義し、同実験系と、有限要素法(Finite element method; FEM)にて矯正力負荷試験を同時に行い、歯の移動を開始するシグナル分子と歯根膜応力の対応関係を明らかにする。さらに抜去歯ドナーの年齢層および細胞老化指標による比較解析を行い、生体レベルにおける歯根膜のメカノトランスダクション機構の患者年齢層による変化を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本邦において、良好な咬合機能の獲得と維持を必要とする中年期以降の患者は増加傾向にあるが、矯正歯科臨床おいては歯の移動に難渋することが問題となっている。歯の移動においては、荷重の受容・歯の移動シグナルの伝達を司る歯根膜のメカノトランスダクション機構が重要な役割を担うが、生体レベルでの機能評価は困難であった。そこで本申請では近年発展したデジタルアナトミー技術に着想を得て、ヒト抜去歯と3D プリンターによる造形物にてヒト口腔内を再現する新規実験系を確立し、矯正力を模した負荷試験を行う。歯根膜の生物学的応答を明示する新規三次元的組織評価法と、有限要素解析結果を包括的に解析し、歯の移動を開始するシグナル分子の発現と歯根膜応力の対応関係を明らかにすることで、ヒト生体レベルにおける患者年齢層別の歯根膜のメカノトランスダクション機構を解明することを目的とする。得られる知見は矯正歯科臨床における新たな治療法開発や、応力解析による全年齢対応型の歯の移動予測アルゴリズムの展開基盤となることが期待される。 当該年度においては、まず実験系の確立のためにデジタルアナトミーモデルの作成に着手した。ヒト口腔内を撮影したCT画像のDICOMデータをもとに、画像解析ソフトウェアを用いて、矯正歯科治療における抜去想定歯および近心側・遠心側いずれかの周囲歯槽骨の三次元画像を再構築する手技を確立した。その上で、3Dプリンターにてデジタルアナトミーモデルを出力した。 またデジタルアナトミーモデルに負荷する矯正力の荷重条件を再検討する必要があり、予備的解析として、ラットを用いた矯正学的歯の移動実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験系確立のためのデジタルアナトミーモデルにおいては歯根膜および臨在する歯根、皮質骨との境界を明確にして作成する必要があるが、CT画像のパーシャルボリューム効果により境界不明瞭な部位があり、閾値の設定に難渋した。最終的に抜去想定歯の周囲のモデル構築は可能となったものの、モデルの歯根表面にヒト歯根膜細胞の播種・培養により歯根膜細胞層を形成する過程に至ることはできなかった。 またデジタルアナトミーモデルに負荷する矯正力の荷重条件を検討するための予備的解析として、ラットを用いた矯正学的歯の移動実験を行った。その結果、今後複数の荷重負荷を検討する必要性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
実験系の確立および三次元組織評価法の確立を進める。具体的には出力したデジタルアナトミーモデルの歯根周囲に歯根膜細胞を播種し、歯根膜細胞層を形成する。また矯正力を模した負荷試験を行うための治具の作成を行い、想定している負荷試験が問題なく行えるか、また組織評価が可能か検討する。
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