研究課題/領域番号 |
23K16201
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
門田 珠実 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10908643)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ菌 / 齲蝕 / ミュータンスレンサ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃疾患の原因細菌であり、小児期に口腔を介して感染が成立すると考えられているが、感染メカニズムの詳細は解明されておらず、特にピロリ菌の感染の入口として考えられている口腔への定着メカニズムが未だ不明である。本研究では、ピロリ菌の初期定着部位として「齲窩」に着目し、齲窩を有する小児から唾液とデンタルプラークを採取するとともに齲窩から軟化象牙質を採取し、ピロリ菌およびミュータンスレンサ球菌の検出を行うことで、小児の口腔におけるピロリ菌の局在について検討する。また、検出されたピロリ菌やミュータンスレンサ球菌の遺伝子型を解析し、細菌叢の多様性とピロリ菌の関係性について検討する。
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研究実績の概要 |
これまでに申請者は、ラット齲蝕モデルを用いた研究により、ミュータンスレンサ球菌が定着して多数の齲窩が形成された小児の口腔にピロリ菌が定着する可能性を示した。本研究では、ピロリ菌の口腔への初期定着部位として齲窩に着目し、齲窩を有する小児から唾液とデンタルプラークを採取するとともに、齲窩から軟化象牙質を採取し、ピロリ菌の検出を行うことで、小児の口腔におけるピロリ菌の局在について検討している。 これまでに4歳から11歳までの齲窩を有する小児3名から唾液サンプル、デンタルプラークサンプル、軟化象牙質サンプルを採取し、当講座で確立したピロリ菌を特異的に検出することができるNested PCR法によりピロリ菌遺伝子の検出を行った。その結果いずれの被験者からもピロリ菌は検出されなかったが、これは現時点で被験者数が少ないことが原因であると考えられる。一方で、対照群としてこれまでに齲蝕が発生したことのない4歳から11歳の小児12名を対象として唾液サンプルならびにデンタルプラークサンプルを採取し、同様にピロリ菌遺伝子の検出を行ったところ、いずれのサンプルからもピロリ菌は検出されなかった。 齲蝕の主要な病原細菌であるミュータンスレンサ球菌は心疾患や腎疾患などの全身疾患の発症や重症度にも影響を及ぼすことが報告されており、胃疾患との関連についても着目されている。本研究では、ピロリ菌だけでなく齲蝕の原因細菌にも焦点を当て、ピロリ菌により引き起こされる胃疾患との関連や胃疾患以外の全身疾患との関連についても検討したいと考えている。今後は、齲窩を要する小児からのサンプル採取を積極的に実施し、ピロリ菌の有無だけでなくミュータンスレンサ球菌の性状や口腔内細菌叢の構成についても解析を進め、齲蝕経験のない小児の口腔サンプルと比較を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究におけるサンプル採取は、大阪大学大学院歯学研究科倫理委員会の承認を得て実施した(R5-E17)。新規に倫理申請を行うことから始めたため、サンプル採取が想定より遅れている状況である。今後は、齲窩を有する小児からのサンプル採取を積極的に実施し、齲蝕経験のない小児の口腔サンプルと比較を行う予定である。また、本研究では得られた口腔サンプルを用いて16Sメタゲノム解析も実施する予定である。解析には齲窩を有する小児からのサンプル数の確保が必要であるため、これらのサンプル数が対照群と同程度になり次第実施予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、齲窩を有する小児からのサンプル採取を積極的に実施し、ピロリ菌の有無だけでなくミュータンスレンサ球菌の性状や口腔内細菌叢の構成についても解析を進め、齲蝕経験のない小児の口腔サンプルと比較を行う予定である。各口腔サンプル館におけるピロリ菌の検出率に大きなさが認められない場合には、各口腔サンプル間の細菌叢の多様性やミュータンスレンサ球菌以外の口腔レンサ球菌にも着目し、ピロリ菌と齲蝕窩および齲蝕原性細菌の3者の関係性の解析に主眼を置くよう、柔軟に対応する。
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