研究課題/領域番号 |
23K16202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉川 友理 岡山大学, 大学病院, 医員 (80972760)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | AhR / RANKL / Th17 cell / RA / マクロファージ/破骨細胞 / 破骨細胞 / マクロファージ / 進行性下顎頭吸収 / 骨免疫ネットワーク / ダイオキシン受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption: PCR)においては成長中の下顎頭骨・軟骨破壊が顎変形症を誘発する要因となる可能性が指摘され、矯正治療中に発症した場合には、当初の治療目標が達成できないなど大きな問題となる。また、難治性疾患に認定されており、発症機序や原因については不明な点が多いのが現状である。したがって、病的状況下を含む頭蓋顎顔面における各種aryl hydrocarbon receptor(AhR)リガンドを介したマクロファージや破骨細胞の分化機構およびAhRシグナルの影響を解明し、その基礎的背景を明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまでの研究では、AhRの発現はマクロファージから破骨細胞分化における転写因子c-Fosの発現上昇と同じ比較的早い分化ステージで上昇し、さらには、AhRによる破骨細胞分化にはRANKLシグナルを介したc-Fosの転写活性、ミトコンドリア生合成にはPPAR-γのコアクチベーターであるPGC-1βを介した2つの独立した下流のシグナル伝達経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。 また、進行性下顎頭吸収の予備的実験として各種AhRリガンドにおけるAhRを介した下顎頭吸収促進メカニズムを解析したところ、AhRの外因性リガンドB[a]Pでは、下顎頭部での破骨細胞の活性化・集積を認め、著しい骨密度の低下が確認されている。一方でAhRの内因性リガンドFICZでは、過開口による変形性顎関節症(TMJ-OA)モデルマウスを作製し、その下顎頭における破骨細胞への影響を解析した結果、TMJ-OAモデルマウスの下顎頭では、破骨細胞の集積やアポトーシス細胞は減少し、FICZ濃度依存的に破骨細胞形成能の低下を認めた。各種AhRリガンド刺激では、下顎頭において異なる作用を示すことが既に判明している。C57BL/6系統マウスのAhRは805個のアミノ酸から構成され、転写因子として機能するために必要な複数のドメインを持つことから、各種AhRリガンド結合部位のアミノ酸を欠損させることで下流シグナル伝達経路を解析している。 さらに、病的状況下での破骨細胞の役割を解明する目的でインビボイメージングにてシアン系近赤外線蛍光色素等で標識した破骨細胞前駆細胞や口腔オルガノイドモデルを経時的にモニターし炎症局所への集積した破骨細胞を解析することでRA新規治療法の創薬への応用を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AhRリガンド結合部位となるアミノ酸を805個の中から複数個に絞った。しかしプラスミドベクターの作製に時間を要しており、まだ結合部位のアミノ酸を特定できていない。本年度はAhRリガンド結合部位のアミノ酸を特定し、さらに解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
AhRリガンドにより活性化された受容体が特異的に結合する遺伝子配列DREは極めて多くの炎症関連遺伝子の制御配列に存在することが知られており、RAとの関連が示唆される。 RAモデルマウスから分離したヘルパーCD4+T細胞中のTh17細胞にAhRが特異的に高発現していることから免疫担当細胞であるマクロファージ、破骨細胞、樹状細胞、T細胞のsingle cell RNA sequencing(scRNA-seq)を用いた分化パターンの解析、さらに細胞性免疫やリウマチ因子、抗核抗体、RA自己抗原の一つであるII型コラーゲン抗体価を含む液性免疫についての詳細な解析を実施することで、RA病変内に豊富に存在する造血幹細胞、骨髄間質細胞を破骨細胞、骨芽細胞に分化誘導させ骨欠損病変部に骨の再生とともにこれまで実態の明らかでなかったRA骨髄環境が生み出すインフラマソーム排他的ニッチを形成させ、AhR阻害下での、歯周病やRAなどの炎症性骨喪失、骨粗鬆症、ステロイド等による薬剤性骨喪失に対する新規骨形成療法の開発を最終目標とする。
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