研究課題/領域番号 |
23K16219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 太 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70838599)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | モーションキャプチャ / 歯学教育 / 歯科診療 / 動作解析 |
研究開始時の研究の概要 |
基本的な臨床能力の習得度を客観的に評価するため、共用試験OSCEが歯科臨床教育に導入されて久しいが、適正な姿勢、手腕の位置や角度と三次元的動作等、いまだ臨床技能のエビデンスが不十分であることから、絶対的な評価基準は存在しない。本研究ではスポーツ医学などの分野で注目されている光学式モーションキャプチャ・システムを用いて、歯科診療の基本的手技を人間工学的に解析し、定量的評価を可能とすること、また歯科診療動作によって得られる窩洞形態や印象体等のアウトプットについても定量的評価方法の確立を目指し、これを利用し歯科臨床教育にフィードバックすることを研究の最終目標とする。
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研究実績の概要 |
歯科治療を代表する治療機器であるタービンハンドピースを用いた支台歯形成動作を対象に実験を行い、術者の診療動作をデータ化した。また、実験で得られたデータの解析を行った。 実験:被験者は熟練者として本院に勤務する歯科医師とした。被験動作は歯科用ユニットに固定したデンタルマネキン上の下顎模型に設置された右下6番人工歯に対する一級窩洞のインレー形成とし、国際バイオメカニクス学会の基準に準拠する頭部・上肢・体幹の体表にマーカを設置した被験者が行う歯科診療の流れを、光学式モーションキャプチャ・システムVICONを用いて計測することで、上肢の姿勢やポジショニングが治療動作に与える影響を確認した。光学式モーションキャプチャ・システムVICONを用いてそれぞれの治療動作を客観的なデータに置換し、実験中にホームビデオカメラで同時に撮影した治療中の様子と照合することによって熟練した歯科医師にみられる動作の特徴を可視化した。実験から得られたデータから得られたデータは、専用の3次元空間動作解析ソフト・ウェア(NEXUS、現有)にて解析を行った。そこから実際に歯科診療動作に大きく影響してくるパラメータを精査した。データ解析は形成動作の開始から終了までの区間における計測データについて分析を行った。評価パラメータはタービンハンドピースに装着されたダイヤモンドバーの先端のパラメータや軌道、分析区間のサンプリング数、歯科医師の頭部・上肢・体幹のパラメータとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば2023年度中に熟練した歯科医師のみではなく、歯学部生や研修歯科医といった経験の浅い学習者を対象とした実験・データ解析を行う予定であった。工学部と合同で研究を行っているためMATRABでのデータ解析を依頼しているが、評価パラメータとして挙げたタービンハンドピースに装着されたダイヤモンドバーの先端の位置情報について、データの解析が想定していたより難航しているため、実際の計測がやや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの実験により、支台歯形成動作について、歯科診療動作を定量的に解析するシステムを構築することができた。また歯科医師と学生を比較することが可能なことが示されたことにより、臨床上有用となり得る指標を得ることができた。 2024年度からは熟練した歯科医師のみではなく、歯学部生や研修歯科医といった経験の浅い学習者を対象に実験を行うことで実験から得られたデータを比較検討し、歯科診療動作のアウトカムに大きく影響するパラメータを模索する。2023年度、2024年度に行う実験の結果か ら得られる計測値に動作と治療結果を関連づける項目を発見できることを期待しているが、実験が思うように進まない場合には、被験者の動作や実験器具の計測ポイントを増やす、被験動作の見直し等の工夫を行う。
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