研究課題/領域番号 |
23K16233
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
井上 真紀 九州歯科大学, その他部局等, 助教 (30882667)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 歯周病検査 / 免疫クロマトグラフィー / Porphyromonas gingivalis / 歯周病 / 生活習慣病 / 簡易検査 / 免疫クロマトグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病が種々の全身疾患に関与するエビデンスが蓄積され、定期検査による早期発見が重要視されている。そのようななか、簡便かつ科学的根拠に基づいた歯周病検査方法が強く求められている。 申請者らは、これまで歯周病原細菌特有の酵素活性の測定キット(TLP-AA-Kit)を企業と共同開発し、歯周病検診における有用性を証明してきた。本申請では、新規に開発した歯周病原細菌検出キットの有用性について評価する。あわせて企業検診のなかで、開発した定量的な歯周病検査キットの測定結果と生活習慣病を中心とした全身状態との関連性について評価するための調査研究を展開する。
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研究実績の概要 |
近年の研究において、歯周病がさまざまな全身疾患に関与するエビデンスが蓄積されている。 歯周病の有病率は上昇の一途にあり、定期検査による早期発見が重要である。そのようななか、簡便かつ科学的根拠に基づいた歯周病検査方法が強く求められている。申請者らは、これまで歯周病原細菌特有の酵素活性の測定キットを企業と共同開発し、歯周病検診における有用性を証明してきた。本申請では、新規に開発した歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis検出キット(P.gingivalis-ICキット)とキットの検出ラインの強度を数値化可能な測定リーダーの有用性について評価する。あわせて企業検診のなかで、開発した定量的な歯周病検査キットの測定結果と生活習慣病を中心とした全身状態との関連性について評価するための調査研究を展開する。 P.gingivalis-ICキットは標準菌株で3200 cfu/testまで検出可能であることを見出している。また測定リーダーと菌数の相関についても高い相関を示した。さらに、細菌45種類、ウイルス15種類、マイコプラズマ4種類について交差性試験を実施したところ、いずれにおいても交差性は確認されなかった。また、口腔内を採取部位としているため、日常生活において使用する薬剤(共存物質)の影響について、代表的な洗口液3種類、液体歯磨剤1種類、ペースト歯磨剤2種類、口腔内雑菌消毒剤1種類、のど飴1種類について影響を確認したところ、添加濃度10 mg/mLでは、影響しないことを確認した。 臨床性能試験として、舌苔・歯肉溝滲出液・歯肉縁上プラークの3つの採取箇所で115症例の検査を行った。そのなかで、歯肉溝滲出液で最も反応性が高い傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、歯周病検査におけるP.gingivalis-ICキットの性能試験を中心に研究を展開した。in vitroの菌株を用いた検出、交差反応性試験(口腔常在細菌、呼吸器感染症ウイルス、マイコプラズマなど)や共存性物質の評価などを行い、同キットが臨床の現場で十分に使用可能な感度、再現性、検出範囲を有することを確認した。臨床検体として、当初の目標(20症例)より多い115症例の患者から舌苔・歯肉溝滲出液・歯肉縁上プラークを回収し、 P.gingivalis-ICキットおよびIC測定リーダーでの試験を実施した結果、歯肉溝滲出液が最も最適な検体であることを見出した。また、臨床性能試験の実施に合わせて、PCR法と酵素反応法での測定も行っている。データは取得済みであるが、考察について次年度に実施予定である。 またIC測定リーダについては、測定値から菌数への変換に必要なデータの取得を行った。カットオフ値付近の検出精度を上げるために、測定プログラムを改善し、低濃度域の検出を出来るように改良を行った。取得したデータを基に検量線を作成する手順を策定した。測定リーダーのプログラムのフォルダ・ファイル構成を確定させ、検量線データの保存フォルダを作成した。なお、検量線データの読み込みついては、QRコードリーダーからの読み取りとした。 このように申請書に記載の研究計画通り、 P.gingivalis-IC kitの適正な臨床検体の選択、デバイスの改良(最適化)、性能試験を遂行しており、本研究課題の現在までの進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
歯周病検査におけるP.gingivalis-ICキットの性能試験については、同時に採取した臨床所見、および測定したPCR法と酵素反応法のデータを取りまとめ、 P.gingivalis-ICキットのデータとの相関を検討する。また、測定リーダーについては、基本プログラムは完成しているが、複数の臨床現場でのトライアルを行う。 また、全身疾患との関連を見すえたデジタル表示型歯周病簡易型検査機器の企業検診への応用にむけて、申請者所属施設の寄附講座の人的、機器などさまざまなリソースを活用して、インフォームド・コンセントの得られた企業健診受検者(有歯顎者)200名を対象に、全身および口腔の健康状態について、1)P.gingivalis-ICキットとすでに開発済みの酵素活性の測定キットによるデジタル表示型簡易型歯周病検査、 2)成人病を含む一般的な健康に関するアンケート調査、 3)同時に実施する全身検査(既往疾患、血圧、血液検査など)のデータを収集する。就業者を対象とした歯科検診および調査研究については、2019年度より実施しており、本申請研究も継続した調査研究の中で、遂行可能である。データ収集完了後、データベースを完成させ、デジタル表示型歯周病簡易型検査機器の結果と入手した全身パラメータとの関連性を中心に科学的に明らかにする。 これらの研究成果は、国際誌および関連学会で国内外に発信する。
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