研究課題/領域番号 |
23K16236
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 到 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (00869208)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 口腔バイオフィルム / 初期付着・凝集 / Actinomyces oris / 短鎖脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,口腔内常在菌で初期付着菌の1つであるActinomyces orisを用いて,初期付着・凝集形成実験とバイオフィルム形成実験において短鎖脂肪酸の添加を行う。短鎖脂肪酸により促進した初期付着・凝集およびバイオフィルムサンプルを用いて,タンパク質および遺伝子の性質と量の違いについて解析する。さらに,培養液中に含まれる化合物の性質と量の違いを明らかにすることも計画している。研究の遂行により,口腔バイオフィルム形成におけるA. orisの病原性および短鎖脂肪酸との関連性が解明され,齲蝕や歯周病などの口腔感染症の予防に繋がるターゲットの新規解明に寄与することを目的としている。
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研究実績の概要 |
口腔内常在菌で初期付着菌の1つであるActinomyces orisは、線毛を用いて歯面へ付着し、その後、他の細菌とも凝集して成熟した口腔バイオフィルムの形成に寄与する。口腔バイオフィルムを形成する細菌は、代謝の結果として短鎖脂肪酸を産生する。短鎖脂肪酸は、口腔バイオフィルム形成を促進させることが報告されたが、その分子的なメカニズムは未だ明らかとなっていない。そこで本研究では、短鎖脂肪酸によるActinomyces orisの初期付着・凝集およびバイオフィルム形成の促進に関する分子の解明を行い、詳細なメカニズムを基礎的に明らかにすることを目的としている。本研究は、通法に従い短鎖脂肪酸を用いた初期付着・凝集形成実験およびバイオフィルム形成実験を実施し、形成された初期付着・凝集体およびバイオフィルム中のタンパク質および遺伝子の性質と量の違いについての検討、さらに培養液中に含まれる化合物の性質と量の違いについての検討を行うことを計画している。 本年度は、Actinomyces orisを用いた初期付着・凝集実験およびバイオフィルム形成実験を行い、先行研究の再現性の確認すること。そして、形成された初期付着・凝集体およびバイオフィルムを回収し、タンパク質抽出および2次元電気泳動法の確立することを目標とした。現在までに先行研究の再現性を確認した。また、超音波破砕法によってタンパク質抽出を実施したが、安定した結果を得ることが出来なかった。次年度は、安定したタンパク質抽出法の検討および2次元電気泳動法の確立を目指すことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、先行研究で実施されたActinomyces orisの初期付着・凝集実験およびバイオフィルム形成実験を行い、実験法の再現性を確認することができた。また、形成された初期付着・凝集体およびバイオフィルムを回収することにも成功した。しかしながら、形成されたバイオフィルムを用いて、超音波破砕法により安定したタンパク質量を抽出することに難航した。その影響により、抽出したタンパク質を用いた2次元電気泳動法の確立まで進行することが出来なかった。そのため達成度にやや遅れが生じていると考える。また、次年度以降に計画している「初期付着・凝集形成およびバイオフィルム形成で生じた培養液中に含まれる化合物の性質と量の違いについての検討」について、液体クロマトグラフィーまたは細胞培養環境測定により培養液成分を検討することとした。また、成分検討のための委託先を選定し、目的とする成分についての検討も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の推進方策としては、まずは初期付着・凝集体およびバイオフィルムから安定したタンパク質の抽出法を確立し、その後2次元電気泳動法の確立に繋げる。現在の計画では、2次元電気泳動用である既存のキットを用いてタンパク質抽出を行い、2次元電気泳動に十分であるタンパク質を確保する。その後、2次元電気泳動パターンを検出したら、ゲルを撮影しパターンを記録する。そして、短鎖脂肪酸の有無によるスポットの成分差を解析するため、特定のスポットについて質量分析を実施することを検討している。万が一、次年度中に2次元電気泳動法が確立できないと判断した場合には、委託により計画を進行させることも視野に入れている。さらに、初期付着・凝集形成およびバイオフィルム形成で生じた培養液中に含まれる化合物の性質と量の違いについての検討のため、液体クロマトグラフィーまたは細胞培養環境測定により培養液成分を実施する。その際に必要となる目的成分に関しても検討を進めることを計画している。
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