研究課題/領域番号 |
23K16257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
香月 尚子 佐賀大学, 医学部附属病院, 助教 (00571431)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 転倒傷害 / 転倒 / 予測モデル / 入院患者 / 多施設後ろ向き / 観察研究 / 医療安全 / Fall injury |
研究開始時の研究の概要 |
8医療機関からデータを収集し、研究者が開発した転倒傷害予測モデル(入院時に簡便に6項目を評価し入院期間中の転倒傷害を予測する)の識別能と当てはまりを検証し、汎用性を評価する。また、病床種別 (急性期/療養/その他) 、職員数、入院患者数、入院の原因となった疾患群などによる層別解析を加える。全体もしくは層別に、AUC0.6未満となる識別能の低下を認めた場合は、1)モデル内に使用する評価項目は同じでモデルの係数を調整する、2)モデル内の評価項目に背景を説明する新たな評価項目を追加してモデルの係数を再設定する、3)施設別に簡単に評価できる項目を用いてモデルを再構築するなどにより、予測式を改良する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、多施設から収集した入院患者のデータを元に、研究者が開発した転倒傷害予測モデル(寝たきり度を含む入院時に評価できる6因子で構成され、内部検証によるAUCは0.794であった)の識別能と汎用性を検証することである。また、AUCが0.6未満となる場合は識別能が保たれた予測モデルの再構築を行うことである。院内転倒の8割は傷害を負わないため、高齢化が進み人的資源や予防ツールに限りがある現在、転倒より件数は少ないが社会的影響が大きい転倒傷害に重きを置いて予防するために、転倒傷害を予測するモデルの開発は重要である。 2023年5月に当大学における臨床研究倫理審査委員会の承諾を、続いてその他の研究協力機関からも研究実施の承諾を得て研究を開始した。研究チームで調査項目を決定し、予定されていた8施設からデータを収集、固定した。データクリーニングおよび転倒傷害予測モデルの外部検証を完了し、全国規模学会で発表した。識別能はAUCが0.641、Youden Indexにおける感度、特異度はそれぞれ60%と、内部検証より低い値であった。また、施設によりAUCは0.616~0.834とやや幅広い値を示した。 2024年1月より、多施設に適応した転倒傷害予測モデルを開発中である。AUC 0.7未満と0.7以上の施設に着目し、施設の特徴(救命センターの有無)を因子に加えて解析したが、多数の因子がモデルの構成因子となり、多忙な医療現場での使用に不向きなモデルと考え、再検討中である。 また、療養型病床に着目した外部検証、および有用な予測因子の探索を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多施設の研究倫理審査の承認に時間を要したが、先行研究と同じ収集方法であったため、その後のデータ収集およびデータ整理はスムーズに行われ、遅れを取り戻した。当初の計画における2024年6月時点まで研究は進行しており、順調であると判断した。 外部検証結果の論文化は、単独ではインパクトがないと判断したため、モデルの再構築と合わせて2025年度に論文化を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
多施設の外部検証においても転倒傷害予測モデルの識別能はAUC0.6以上であり有意な結果であったが、更に識別能を上げるため、予測モデルの目標AUCを0.7以上、構成因子を10未満に再設定し、再構築を開始した。 また同時に、実施された転倒予防策が予測モデルの識別能へ影響した可能性を考え、収集したデータを二次利用し、傾向スコアマッチングを用いて、転倒予防策全般、個別の転倒予防策(離床センサー、低床ベッド、柵など)の効果を検証する予定である。
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