研究課題/領域番号 |
23K16267
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
運崎 愛 東海大学, 医学部, 助教 (60771516)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | インフォームド・アセント / インフォームド・コンセント / アセント文書 / 小児患者 / 小児がん経験者 |
研究開始時の研究の概要 |
医療行為を行う際、患者本人からインフォームド・コンセント(IC)を得ることはすでに確立しており、患者が小児の場合は代諾者として親権者からICを得て、患児に対しても本人の理解に合わせてインフォームド・アセント(IA)を得ることが重要と言われている。一方で、患児に対する説明は年齢や発達段階に合わせて行うべきであると考えられているが、患児の意向が治療方針・医療的ケアの決定にどのように反映されているのかは不明である。そこで、小児がん患者に対してIAがどのように行われてきたか、IAを受けた当事者がどのように理解し、どのように感じたかを明らかにし、小児患者におけるIAの在り方について提言する。
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研究実績の概要 |
診療におけるインフォームド・アセントがどのように行われているのかを明らかにするため、まずはインフォームド・アセント文書の有無を中心に、現況を調査することとした。2023年4月現在、日本小児科学会の小児医療提供体制調査2019のリストにある「中核病院小児科」登録病院119施設を対象として質問紙調査を行った。対象施設の施設長宛に質問紙への回答を依頼する文書を送付した。当方から回答者を指定せず、施設内で選定後、質問紙への回答を記入してもらう方式とした。回答後、質問紙を郵送で返送してもらい回収した。調査期間は2023年9月4日から2023年9月30日とした。質問紙の設問は、「施設の属性」「病床数」「回答者の職種」「インフォームド・コンセント文書」「インフォームド・アセント文書」「小児患者の意思の尊重」「小児患者の権利」が含まれる。回答形式は設問内容に応じて選択方式もしくは自由記載方式とした。119施設中51施設より回答があり、有効回答は44施設であった。造影CT、造影MRI、輸血および血漿分画製剤、全身麻酔のインフォームド・コンセント文書があると回答した施設は43施設(97.7%)であったのに対して、上記の医療行為のインフォームド・アセント文書があると回答した施設は2施設(4.5%)と少なかった。小児患者の意思の尊重のために実施している取り組みとしては、多くの施設でプレパレーション等の取り組みがなされていた。また、約6割の施設で「小児患者の権利」が定められていた。この結果から、診療においてインフォームド・アセントを書面で取得している施設は少ないことがわかった。一方で、プレパレーション等の取り組みは広く行われていた。今後、子どもの意思を尊重する手段の一つとして、診療においてもインフォームド・アセント文書の活用が望まれるため、モデル文書の作成や、さらなる調査が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画しているインタビュー調査に向けて事前調査となる質問紙調査を全国の施設を対象に行うことができたため、おおむね順調に進展していると考えている。この結果をもとにインタビュー調査を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
学童期に小児がんを経験した成人を対象にインタビュー調査を行う予定である。調査内容は、①がん種②治療時の年齢、治療期間③病名、病状についての説明を受けたか、受けた場合、説明者(医師、親権者など)、説明内容、説明の態様④治療、処置についての説明を受けたか、受けた場合、説明者(医師、親権者など)、説明内容、説明の態様⑤説明は当時の本人にとって理解できるものだったか⑥本人も治療についての意思決定に参加していると感じられたか(疎外感はなかったか)、自分の意向や気持ちが尊重されたと感じられたか⑦小児がん経験者としてインフォームド・アセントについてどう考えるか、医療者へ期待するものは何か、を検討している。この調査で得られた結果を検討し、インフォームド・アセントのあり方について考察する。
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