研究課題/領域番号 |
23K16306
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
紅林 佑希 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90751983)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | インフルエンザウイルス / シアリダーゼ / 蛍光プローブ / 酵素活性可視化 / 細胞内局在 / ウイルス / インフルエンザ |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザウイルスのシアリダーゼは細胞内でも機能を有することが報告されているが、詳細な解析は進んでいない。本研究では、細胞内シアリダーゼの挙動を可視化する新規蛍光イメージング剤の開発を通してシアリダーゼの新機能解明を目指す。パンデミックウイルスに見られるシアリダーゼの特性の解析を中心に、蛍光イメージング剤を利用したシアリダーゼの機能解析を行い、ウイルスの新たな感染メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、代表者がこれまでに開発してきた蛍光プローブを用いたインフルエンザウイルスシアリダーゼの可視化技術を基盤として、細胞内におけるウイルスシアリダーゼの新機能解明を目指すものである。これまでの研究で、インフルエンザウイルスのパンデミック株では酸性条件下でもシアリダーゼ活性が保持されること、この特性はウイルスの増殖促進に寄与することが明らかとなっており、これらよりウイルスシアリダーゼにはパンデミック発生にも関わる未知の機能が存在することが示唆される。細胞内の酸性環境でのウイルスシアリダーゼ活性の挙動を解析することで、インフルエンザウイルスの未知の感染機構の解明を目指す。本年度は、新たな蛍光プローブの開発に取り組んだ。シアリダーゼはインフルエンザウイルス以外のウイルスやバクテリア、細胞にも存在し、これまでの蛍光プローブは広範なシアリダーゼ全てに対し反応するプローブであった。そこで、蛍光プローブの構造改変を行うことで、インフルエンザウイルスのシアリダーゼに対し特異的に反応する蛍光プローブの開発を行った。また、蛍光プローブによる細胞内のシアリダーゼ活性の蛍光染色と抗体を用いた免疫染色法を組み合わせることで、ウイルスシアリダーゼや宿主細胞タンパク質の局在とウイルスシアリダーゼ酵素活性の多重染色法の検討を行った。本手法により同一の細胞内におけるウイルスシアリダーゼの活性変化と各種タンパク質の局在変化の関係性を可視化することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに目標の一つであったインフルエンザウイルスシアリダーゼに特異性を持たせた蛍光プローブの開発を行うことができた。細胞内のウイルスシアリダーゼの活性を可視化する実験において、特に初期感染時のウイルスシアリダーゼ挙動を見るために大量のウイルスが必要であることが分かり、ウイルス培養のための時間を要している。細胞内ウイルスシアリダーゼ活性を可視化するための蛍光プローブの改良は引き続き行っており、今後さらなる高性能化を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光プローブの高性能化を目指した構造改変とその評価は継続して実施していく予定である。ウイルス感染時における細胞への影響について、アポトーシス誘導や細胞内シグナル、それらに関わる細胞内分子の発現・挙動の変化を解析し、ウイルスシアリダーゼが細胞内にどのような影響を及ぼすのか明らかにしていく。酸性条件下で安定なシアリダーゼ活性を示すパンデミックウイルス由来のシアリダーゼ及び遺伝子変異によりその特性を焼失させたシアリダーゼを持つ遺伝子組み換えウイルスは既に作製済であり、今後、これらウイルスを用いた感染細胞への影響についても検討を行っていく。
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