研究課題/領域番号 |
23K16313
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
大神田 敬 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (40793469)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カルバペネマーゼ / 併用療法 / 動物実験 / 代替モデル / カルバペネム耐性菌 / 抗菌薬併用療法 / 感染実験 / Caenorhabditis elegans |
研究開始時の研究の概要 |
カルバペネマーゼ産生菌(CPO)の蔓延は世界的な公衆衛生上の驚異であるが、有効な新規抗菌薬の開発は少なく治療の選択肢は限られている。これまでの研究で、耐性化した抗菌薬同士の併用でも十分な殺菌作用を発揮することが明らかになったが、その作用機序は解明できていない。本研究では、CPOに対する抗菌薬併用の作用機序の解明およびin vivoにおける有効性と安全性の評価に取り組む。薬剤耐性菌感染症の治療法の開発は喫緊の課題であり、本研究成果は新たな治療指針の確立に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は抗菌薬併用療法がカルバペネマーゼ産生菌(CPOs)にどのように作用するかを検討し、さらに代替モデル動物を用いたin vivo試験の確立により有効性および安全性を評価することを目的としている。CPOs感染症に対する新規治療法の開発は急務であり、治療の選択肢を増やすことは薬剤耐性菌問題において重要な課題の一つである。我々は主要なCPOsに対する併用効果を網羅的に評価することで、カルバペネマーゼの種類によって有効な組合せが異なることを明らかにしている。これまでの研究において、細胞壁合成阻害剤とタンパク合成阻害剤の併用が最も高い殺菌効果を示すことが示唆された。今年度は広範囲多剤耐性および汎薬剤耐性を示すカルバペネマーゼ産生Klebsiella pneumoniaeに対し、ミノサイクリンとビアペネムの併用効果を検討した。その結果、NDM産生株では顕著な相加相乗作用が認められた一方で、OXA-48産生株やNDM+OXA-48同時保有株では拮抗作用が確認された。また、2剤目の投与タイミングを1時間遅らせることで相加相乗作用が拮抗作用に変化することが確認された。これらにより静菌的抗菌薬であるミノサイクリンを用いた併用療法はCPOsに対して相加相乗作用を示すが、同時投与でない場合は従来の定説通り拮抗作用を示すことが示唆された。さらに、哺乳類の代替モデルとして線虫を用いた多剤耐性菌感染モデルの作製を試みたところ、24時間の経口摂取によって有意な生存率の低下が認められたことから、線虫は多剤耐性菌感染モデルとして治療評価に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに高度な多剤耐性を示すCPOsにおいて、有効性が期待される組合せが明らかになり、静菌的抗菌薬と殺菌的抗菌薬の組合せでも相加相乗作用があること、それぞれの投与タイミングが併用効果に影響することを明らかにできている。さらに、これらのin vivoにおける有効性の評価において、線虫の代替モデルとしての有用性を明らかにしたことによりin vivoの評価を実施できる。
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今後の研究の推進方策 |
併用療法の作用機序を中心に解明を進めていく予定である。具体的には、β-ラクタマーゼ総活性量をUV法によるカイネティクス解析で測定し、各β-ラクタマーゼ阻害剤添加後の活性量の変化からカルバペネマーゼ活性を算出する。さらに、アミノグリコシド系やテトラサイクリン系を単剤で濃度条件を振り、総タンパクとカルバペネマーゼの発現量および産生量をRT-PCRやウエスタンブロットで測定し、それぞれの減少スピードを比較する。
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