研究課題/領域番号 |
23K16326
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 恵子 (奥村恵子) 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20617534)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 救急搬送困難事案 / 現場滞在時間延長 / 病院照会回数 / 機械学習 / セグメンテーション / 因果モデル / ベイジアンネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
近年、受入医療機関が速やかに決定しない救急搬送(救急搬送困難事案)が社会問題にな っている。特に2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症流行により救急搬送困難事案の 増加が顕著である。本研究の目的は、救急搬送困難事案の実態を把握し、救急搬送困難事案 を推論する因果モデルを作成することである。具体的には、①消防本部の救急搬送記録データを用いて、救急搬送困難事案と関連する集団の特徴を特定、②①と同じデータを用いてベイジアンネットワークにより救急搬送困難事案を推論する因果モデルを作成、③救急隊員のインタビュー調査を実施し、上記①②で得られた救急搬送困難事案のセグメントと因果モデルの妥当性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①消防本部の救急搬送記録データを用いて、救急搬送困難事案と関連する集団の特徴を特定、②前述のデータを用いてベイジアンネットワークにより救急搬送困難事案を推論する因果モデルを作成、③救急隊員のインタビュー調査を実施し、上記①②で得られた救急搬送困難事案のセグメントと因果モデルの妥当性を検証する。なお、本研究では国内の定義を参照し、救急搬送困難事案を(1)受入照会回数が4回以上、もしくは(2)現場滞在時間が30分以上の救急搬送と定義する。 2023年度は、主に上記の研究①を実施した。2016~2022年の7年間の広島県東広島市消防局から提供された救急要請・搬送記録データを入手し、本研究の解析に必要なデータの抽出とクリーニングの処理を行った。東広島市消防局で7年間に救急搬送された60,309名のうち、軽症の救急車利用者である20,069名を分析対象者とした。軽症の救急車利用者において、現場滞在時間延長と関係する要因は、高齢者、女性、火災、自然災害、交通事故、加害、自傷、病院照会回数4回以上、コロナ禍の時期 (2020年4月~2022年12月) であった。本研究結果を国内学会で報告した。また、本研究結果を国際誌に公表した。本研究結果は研究②の前段階の研究でもあり、2024年度以降本研究結果を因果モデルの作成に活用する。 また、同年度末に東広島市消防局と合同会議を実施した。東広島市消防局担当者から分析結果のフィードバックをいただくとともに、2024年度以降の研究計画について報告し、引き続き協力いただけるとの回答を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、2016~2022年の7年間の広島県東広島市消防局から提供された救急要請・搬送記録データを入手し、本研究の解析に必要なデータの抽出とクリーニングの処理を行った。 研究①の成果として、軽症の救急車利用者における現場滞在時間延長と関係する要因を明らかにすることができ、国内救急医学学会で本研究成果を報告した。さらに、本研究成果を救急医学の国際誌(BMC Emergency Medicine)に掲載することができた。 研究②の事前準備として、因果モデルに必要な統計ソフトを入手し、使用方法を習得した。 研究③を今後実施するにあたり、インタビュー調査に協力していただける救急救命士とのネットワークを構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に得られた軽症の救急車利用者の現場滞在時間延長の結果を参考に、ベイジアンネットワークにより救急搬送困難事案を推論する因果モデルの作成を実施する。そして、救急隊員のインタビュー調査を実施し、救急搬送困難事案を推論する因果モデルの妥当性を検証する。インタビュー調査の協力者は、東広島市の医療圏で勤務する救急隊員を対象としているが、他の医療圏で救急医療に従事する救急隊員らも対象にすることを検討している。
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