研究課題/領域番号 |
23K16330
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古田 芳彦 九州大学, 医学研究院, 助教 (60850005)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 疫学 / 脳画像 / 脳卒中 / 脳血管障害 / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
MRIで脳に無症候性の病変(脳梗塞、脳出血、大脳白質病変等)を認める機会が増加しているが、これらの病変はその後の脳卒中や認知症発症の危険因子とされ重要である。しかしMRIを複数回撮像することによって地域一般住民における新規の脳血管病変の発症率を検討した報告は少ない。 福岡県久山町では、1961年から地域住民を対象とした疫学研究(久山町研究)が継続されている。本研究では2回の頭部MRI検査とその後の追跡調査のデータを用いて、MRI画像上の脳血管障害病変の変化(病変が新たに出現する発症率)とその危険因子、さらにこれらの病変が出現することによるその後の脳卒中や認知症の発症、死亡に与える影響を検討する。
|
研究実績の概要 |
福岡県久山町では、1961年から地域住民を対象とした疫学研究(久山町研究)が継続されており、脳卒中や虚血性心疾患発症の追跡調査を行っている。さらに本研究グループは2012年と2017年に65歳以上の高齢者の約70%において頭部MRI検査を実施した実績を有する。そこで本研究は、地域高齢者におけるMRI画像上の脳血管障害病変の変化(病変が新たに出現する発症率)とその危険因子、さらにこれらの病変が出現することによるその後の脳卒中や認知症の発症、死亡に与える影響を検討することを目的としている。2023年度はデータセット作成を進めた。概要は以下の通りである。 2012年と2017年の久山町高齢者調査で頭部MRI検査を受診した65歳以上の男女927人を対象とした。これらの対象者のMRI画像について、脳梗塞、微小出血の有無を2人の読影者が臨床情報を知らされずに独立に判定した。脳梗塞は3 mm以上の病変とし、穿通枝領域で15 mm未満の脳梗塞をラクナ梗塞と定義した。また微小出血は10 mm未満の脳出血と定義した。2人の判定が一致しない場合は第3者が決定した。 その結果、2012年のMRIにおいて脳梗塞を210人(22.9%)、微小出血を149人(16.2%)で認めた。脳梗塞の有病率を年齢階級別にみると、65~69歳で16.5%、70~74歳で20.8%、75~79歳で31.0%、80歳以上で31.2%となっており、年齢の上昇とともに有意に増加した(傾向性p<0.001)。ラクナ梗塞の有病率は17.5%で、年齢階級別にみると65~69歳で12.7%、70~74歳で16.8%、75~79歳で23.9%、80歳以上で21.6%と、年齢の上昇とともに増加した(傾向性p<0.01)。なお2017年においては脳梗塞を237人(25.8%)、微小出血を192人(20.1%)で認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り2012年および2017年に撮像された脳MRI画像所見のデータセットを作成した。現在2012年と2017年の画像を比較読影しており、おおむね予定通りに進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度はこれら病変について2012年から2017年にかけての変化を検討し、発症率やその危険因子を算出する。また心血管病および認知症発症の追跡を継続する。
|