研究課題/領域番号 |
23K16341
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
田中 宏和 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (90905431)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 健康格差 / 公的統計データ / 医療ビッグデータ / 公衆衛生学 / 死亡率 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
健康格差の縮小は重要な課題であるが、現状では記述統計およびエビデンスが乏しい。本研究はわが国の健康格差の対策に向けた公的統計データと医療ビッグデータの活用法を検討する。具体的には国勢調査と人口動態統計(死亡・出生)・がん登録など罹患統計との精度の高いリンケージを実施し、学歴別の死亡率・罹患率の推計や社会経済状況と生活習慣の関連などの分析を行う。わが国の健康格差の特徴を明らかにするとともに、統計のリンケージの手法検討など公的統計データ分析の標準化など活用法を確立し、わが国の健康格差を網羅的・長期的に分析して将来の対策につなげるための包括的研究を実施する。
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研究実績の概要 |
公的統計データの活用により人口属性・社会経済的状況による健康格差モニタリングを実現するために、日本人の死亡率データベースを構築した。総務省の国勢調査(2020年)と厚生労働省の人口動態統計死亡票(2020年10月-2022年9月)の個票データを取得し分析した。性・生年月・住所(基本単位区・町字)・婚姻状況・配偶者の年齢(既婚のみ)の組み合わせをリンケージキーとし、これが他の人と重複しない日本人を抽出した。確定的リンケージ法で国勢調査に死亡票(2年間分)をリンケージし、死亡率データベースを作成して全人口の死亡率と比較した。婚姻状況、世帯人数、教育歴、職業階層、地理的剥奪指標(市区町村:人口10分位)、2次医療圏ごとによる年齢調整死亡率をそれぞれ分析した。日本人全人口の90.1%が分析対象となり、リンケージされた死亡票は全死亡票の72.0%であった。死亡票が国勢調査にリンケージされた割合は25-84歳で約80%であったが85歳以上の高齢になるほど低くなり、このために全人口死亡率に比べて本研究の死亡率データベースによる死亡率は特に85歳以上で過小評価となっていた。全人口の全死因年齢調整死亡率と比べた本研究の死亡率データベースによる年齢調整死亡率の差は男性で-4.2%、女性で-2.0%だった。2次医療圏ごとの分析では、男女とも年齢調整死亡率は青森県・大阪府で高く、長野県・滋賀県で低い傾向があった。2020年国勢調査と人口動態統計(2年分)のデータリンケージにより、日本人約1.08億人に対して約210万人の死亡データがリンケージ可能であることが示された。検証の結果、25-84歳において個人の人口属性・社会経済的状況を変数として含み、死亡の地域性を捉えた精度の高い死亡率データベースが構築された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
総務省、厚生労働省より国勢調査と人口動態統計死亡票のそれぞれのデータを取得し、予定していた分析を実施・完了させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
作成された2020-2022年死亡率データベースにより、婚姻状況、世帯人数、教育歴、職業階層、地理的剥奪指標、2次医療圏ごとの死亡率を分析する。それぞれの人口属性でどのような死亡率の特徴があるのか明らかにするとともに、社会経済的状況の代表例である教育歴の分布を考慮した地域別の死亡率などを分析する予定である。
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