研究課題/領域番号 |
23K16344
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
石黒 智恵子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 臨床疫学研究室長 (20858782)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | レセプトデータ / アルゴリズム / バリデーション / COVID-19 / 薬剤疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
レセプトデータを活用した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する疫学研究のエビデンスレベルの担保には、レセプトデータからCOVID-19患者を特定するアルゴリズムの妥当性検証が必要不可欠である。しかしながら、COVID-19のような新興感染症では、妥当性検証を目的としたバリデーション研究の実施を阻む深刻な要因がある。 本研究では、その要因を克服したアプローチを用いてCOVID-19患者特定のためのアルゴリズムのバリデーション研究を実施し、最適なアルゴリズムを提案する。本研究を通じて、日本のレセプトデータを利用したCOVID-19関連の疫学研究全体のエビデンスレベル向上に貢献する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、レセプトデータからCOVID-19入院患者を特定するアルゴリズムの開発と妥当性の検証(バリデーション)を実施した。この検証では、1病院から収集した2020年1月~2021年12月のレセプトデータを用いた。候補となるアルゴリズムは「入院」、「中等度以上」、「重度」のCOVID-19入院に対してそれぞれ作成した。また、真のCOVID-19入院患者の判定基準として、当該病院のCOVID-19入院患者レジストリ(COVIREGI)を用いた。これら2つのデータソースを患者IDでリンケージすることで真偽判定を行い、医療現場でのカルテレビューによる作業負担を回避した。結果は、傷病名(ICD-10: U07.1, B34.2)だけで構成されるアルゴリズムでは研究対象期間を通じて一貫して高い感度(90.4%~94.9%)と低いPPV(9.3%~19.4%)を示した。傷病名と処置から構成されるアルゴリズムの感度とPPVは、時期によって変動があったが、入院については2021年上半期に93.9%と97.1%、中等度以上の入院については2021年下半期に90.4%と87.5%、重度の入院については2020年下半期に92.3%と85.7%という値が確認された。また全てのアルゴリズムにおいて特異度と陰性的中度は約99%であった。本内容について論文として取りまとめ、J Epidemiolに掲載された(2024 Mar. doi: 10.2188/jea.JE20230285)。また、入院および外来のCOVID-19患者を特定するアルゴリズムのバリデーションを目的として、施設横断的なデータを用いた粗解析を実施し、2023年11月に薬剤疫学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単施設でのCOVID-19入院患者のアルゴリズムのバリデーションを実施し、論文として取りまとめて公表した。また、施設横断的なデータを用いたCOVID-19外来患者を含むアルゴリズムのバリデーションについても粗解析結果については学会発表を行い、論文化に向けた作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の入院・外来患者を特定するアルゴリズム開発とバリデーションについて、施設横断的データを用いて引き続き実施していく。また、開発済みのCOVID-19アルゴリズムを活用した疫学研究についても今後実施予定である。さらに、医療従事者に負担をかけずに実施できるバリデーション実施体制の拡大・充実化についても引き続き検討を行う。
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