研究課題/領域番号 |
23K16345
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
帯包 エリカ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 上級研究員 (00747347)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 周産期うつ病 / 父親支援 / インターネット認知行動療法 / ランダム化比較試験 / 周産期メンタルヘルス / デジタルメンタルヘルス / 認知行動療法 / インターネットプログラム |
研究開始時の研究の概要 |
父親の周産期うつ病は、父親の身体的・精神的健康を害し、こどもの情緒や行動発達に影響する公衆衛生の課題である。認知行動療法は労働者や周産期女性のメンタルヘルス改善に有効だが、父親のメンタルヘルス改善に特化したプログラムはない。申請者はインタビュー調査を基に、父親の周産期の悩みに特化した認知行動療法プログラムのパイロット版を作成した。本研究では、前後試験結果を踏まえプログラムを改良し、うつ病予防効果をランダム化比較試験で明らかにする。本プログラムは、医療保健従事者と接触機会の少ない父親へのメンタルヘルス支援提供として活用が期待され、母子保健や産業保健への展開、実装研究への発展を視野に入れる。
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研究実績の概要 |
本研究は、父親の周産期の悩みに特化したインターネット認知行動療法プログラムを、うつ病予防効果をランダム化比較試験により検証する。2023年度は、パイロット試験を基に以下の課題に取り組み、リクルート方法やプログラム内容を見直し、独自のLMS(学習管理)システムの開発を行った。 1.リクルート方法の改良:妊婦健診でのチラシ配布に加え、父親が目に付く場所へのポスター掲示や医療従事者からのプログラム紹介を導入する。また、本試験では医療機関でのリクルートに加え、ホームページやメディアを通じた研究参加への呼びかけを行う予定である。 2.参加者へのリマインド手法:プログラム未実施者や進捗が滞る参加者への対策として、普段から使用するメールアドレスの登録呼びかけや父親の動機付けとなるメッセージ内容に改良を行った。 3.技術的な課題への対処:パイロット試験では既存のLMSシステムにプログラムを搭載したが、いくつかの重要な機能への対応ができなかった。例えば、参加者が質問票回答時に選択肢をチェックせずに進もうとした時に、警告を出す設定(欠損値を出さないための機能)、管理者が参加者の妊娠週数に応じてメッセージを効率的に送る機能、参加者の進捗状況を一覧で確認する機能等が挙げられた。さらに、情報セキュリティの観点より、LMSサービスはISMAP認証を取得していることが望ましく、本試験では独自のLMSシステムを開発し、ISMAP認証を取得しているサーバーに搭載する方針とした。2023年度はLMSシステムの開発を行い、2024年6月には完成予定である。 さらに周産期の父親に関連する研究として、日本におけるCOVID-19問題による社会・経済格差評価(JACSIS)研究データを分析し、父親の周産期のパートナー間暴力被害が父親のメンタルヘルスの悪化やこどもへの虐待関連行動に関連することを示し、学会で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロット試験で得られた知見をプログラム内容や介入方法に反映させるため、新たな学習管理システムに移行させるため時間を要しているが、研究計画には支障はないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究推進方策は以下の通りである。 1.周産期父親のインターネット認知行動療法プログラム「これからお父さんになるあなたのための心のケアプログラム」の新LMSシステムへの搭載を完了する。 2.本研究に関するランダム化比較試験のプロトコル論文を投稿する。 3.国立成育医療研究センター産婦人科外来、同センターホームページ等を通じてランダム化比較試験のリクルートを開始し、データ収集を実施する。 4.デジタルメンタルヘルス領域、産婦人科、精神科の専門家と意見交換を行い、より効果的で実装性の高いプログラムへ改良するための施策を考える。本研究によりインターネット認知行動療法の父親の周産期うつ症状への有効性が示されれば、産前・産後の父親のメンタルヘルス支援の選択肢として、周産期医療、母子保健、産業保健へ展開することが期待できる。
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