研究課題/領域番号 |
23K16349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松岡 洋子 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (20964141)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会疫学 / 住宅地開発 / 健康影響評価 / 転居 / 多世代コホート |
研究開始時の研究の概要 |
転居はストレス因の一つであるが、転居理由や転居後の環境次第で転居者の健康状態が改善する可能性もある。災害時などの非自発的転居では負の健康影響が報告されているが、自発的転居を含む平時の転居は報告が少ない。諸外国では住宅地開発前後の新規転入者の健康状態を追跡した調査が行われているが調査地域数はまだ少ない。国内でも現在基本計画中の多世代向け住宅地開発事業があり、申請者らは健康影響評価の準備を進めている。本研究では開発前後の新規転入者と先住者の健康評価指標のコホート構築に向けた事前調査を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、研究対象地域で住宅地開発に先行して商業施設が新装開店する予定であることを踏まえ、商業施設と連携した健康プログラムの評価を実施した。具体的には、ショッピングモールの空間を活用し、スマートフォンアプリのGPS機能と連携した既存のモールウォーキングプログラムが、アプリ利用者のモール来店日の歩数にどの程度効果をもたらすかについて検証した。18歳以上の成人を対象に、2021年の1年間に取得した、約21万人の約2,300万日分の歩数データを分析したところ、プログラムの参加日には1日当たりの歩数が非参加日と比較して、1,219歩多くなっていた。地域別、モールの規模別、個人属性別に比較したところ、特に都市部、郊外、大型モール、女性、高齢者で歩数が多く増加する傾向にあった(Matsuoka et al., 2024, JAMA Network Open; Matsuoka et al., 2023, 2023 SER International Travel Scholarship; Matsuoka et al., 2023, 5th Japan-Germany Symposium on Advanced Preventive Medicine)。 また、同一アプリの利用者を対象に、2022年11月に約1か月間実施した、ランダム化比較試験による歩行促進メッセージ配信の効果評価も実施した。対象者は期間中、健康教育や行動指向などの認知メッセージ、規範やモチベーション向上などの感情メッセージ、複数のメッセージを同時に受け取る群に割り付けられた。その結果、全体として、複数のメッセージを同時配信すると歩数増加に逆効果であるものの、性別や年代別に層別してみると、特に女性は認知メッセージ、30代は認知・感情メッセージの両方が歩数増加に効果的である可能性が示された(松岡ほか2023、第31回日本健康教育学会学術大会学会長賞)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
商業施設の運営会社との共同研究により、アプリデータを活用した既存の健康プログラムの効果評価を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、住宅地開発対象地域の住民を対象としたプレ調査を実施する予定としている。その後も追跡調査を行い、同一地域で商業施設が新装開店することによる健康影響評価を実施する予定である。住宅地開発の健康影響に関する文献レビューや、ワークショップの開催を通じた近隣住民や開発担当者との意見交換も継続的に行う。また、2023年度の成果の論文化を引き続き進める。
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