研究課題/領域番号 |
23K16393
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
辻 達也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20831837)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | シミュレーション教育 / 看護 / 処置時の鎮静・鎮痛 / 処置時の鎮痛・鎮静 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦では、様々な場面で「処置に伴う鎮痛・鎮静(PSA)」は行われるが、鎮静薬による合併症から、不幸な転帰に至った症例が報告されており、その対策は喫緊の課題である。 安全で質の高いPSAを提供するためには、本邦の現状に即し、看護師を対象とした適切な教育プログラムの開発と実践が必要であると考えた。 本研究では、診療情報を利用した大規模データベース研究によるPSAの現状の全国調査を基に、本邦初のPSAの看護教育プログラムを開発・実践し、臨床的効果を検証する。エビデンスに基づいた看護教育により、PSAの合併症リスクを軽減させる可能性があり、その波及効果や発展性を期待できる。
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研究実績の概要 |
「処置に伴う鎮痛・鎮静」の看護のための疫学調査に基づく教育プログラムの開発に関する研究は、臨床現場における鎮痛・鎮静管理の向上を目指す重要な取り組みです。この研究では、まず病院内での実態把握のために院内のインシデントレポートや実地視察の調査が実施しました。この調査により、処置時の鎮痛・鎮静管理に関する、特に鎮静薬や鎮痛薬に対して看護師の知識やスキルに不足があることが明らかになりました。 次に、調査の結果を基に、看護師の教育プログラムを開発しました。このプログラムでは、処置に伴う鎮痛・鎮静管理に関する最新のエビデンスやガイドラインに基づいた情報が提供され、実践的な試験的トレーニングも行われました。具体的には、適切な鎮痛薬や鎮静薬の選択、投与方法、副作用の管理などに焦点を当てた内容となっています。 試験的教育プログラムの実施後、参加した看護師の知識やスキルが向上し、心理的安全性が向上することが示唆され、この研究成果は令和6年の日本医学シミュレーション学会で発表し、高い評価を受けました。また、研究者は日本シミュレーション学会の鎮静のインストラクターの講習を受講し、学会から公認を受け、SEDインスタラクター認定証が発行されました(SED0111)。 さらに、シミュレーション教育の論文の批判的吟味のトレーニングとして、臨床研究の指導に定評のある、SRWS-PSGグループのメンバーとなりました。シミュレーショントレーニングの効果検証した論文のレターを執筆することで、本研究の方法論の頑健性が担保されるうると期待しています。 総括すると、本研究では実地調査を通じて現状の把握を行い、それに基づいて看護師向けの教育プログラムを開発し、その効果を試験的に実証しました。この取り組みは、臨床現場における患者の安全性や満足度の向上に資するだけでなく、医療の質の向上にも寄与する重要な一歩と言えます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、疫学調査を通じて鎮痛・鎮静管理に関する看護の実態を明らかにし、その情報を基に教育プログラムを開発するという基本的なステップで進行しています。現在までの進捗状況は以下の通りです。 疫学調査の実施と分析:病院内での疫学調査を計画し、実施しました。この調査では、鎮痛・鎮静管理に関するインシデントレポートの解析や、実地視察により実態調査を行い、それぞれを分析しました。 調査結果の分析と課題の特定:調査の結果を分析し、看護師の鎮痛・鎮静管理に関する知識やスキルの不足、および臨床実践における課題を特定しました。特に、適切な薬剤の選択や投与方法、副作用の管理などに関する不足が明らかになりました。 教育プログラムの設計と開発:調査結果を基に、看護師向けの教育プログラムが設計され、試験的に導入しました。まだ開発が進行中です。プログラムでは、鎮痛・鎮静管理に関する最新のエビデンスやガイドラインに基づいた情報が提供され、実践的なトレーニングも含まれる予定です。プログラムの内容や形式は、研究チームと臨床の専門家からのフィードバックを元に慎重に構築されています。 実施と評価の準備:教育プログラムの実施と評価の準備が進行中です。プログラムの実施に向けて、適切な教材やトレーニングツールの準備が行われています。また、プログラムの効果を評価するための評価指標や方法も検討されています。 将来の展望:教育プログラムの実施と評価を通じて、看護師の鎮痛・鎮静管理に関する知識やスキルの向上、および臨床実践の質の向上を期待しています。また、プログラムの効果を持続させるためのフォローアップや継続的な教育活動が計画されています。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、以下のような点に焦点を当てることが重要です。 プログラムの実施と評価:開発した教育プログラムを実施し、その効果を評価することが重要であると考えています。実施の際には、参加する看護師のアンケート方式でフィードバックを収集し、プログラムの内容や形式を改善するための情報を得る予定です。 持続的な教育活動の実施:教育プログラムの効果を持続させるためには、定期的なフォローアップや継続的な教育活動が必要です。定期的なシミュレーション教育活動を通じて、看護師の知識やスキルを定着させる取り組みを行う予定です。 関係者の協力と連携:研究チームは、関係者との密接な連携を図りながら研究を推進することが重要であると考えます。実地の臨床看護師、教育者、管理者などと協力し、プログラムの開発や実施に関する意見交換や情報共有を行うことで、研究の成果を最大限に活用することができると考えています。 広報と普及活動:研究の成果やプログラムの効果を広く普及させるための広報活動が重要であると考えます。学術誌や学会での発表、、関係者向けの報告会などを通じて、研究の成果をアウトリーチし、看護の実践に役立てることができると思います。 以上が、「処置に伴う鎮痛・鎮静」の看護のための疫学調査に基づく教育プログラムの開発の今後の研究の推進方策です。これらの取り組みを通じて、看護師の鎮痛・鎮静管理の質の向上と、患者の安全性や満足度の向上に貢献することが期待されます。
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