研究課題/領域番号 |
23K16484
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
齋藤 朋子 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (20751027)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 養育レジリエンス / NICU家族面会 / 神経行動発達 / family-centered care / family-integrated care / ファミリーセンタードケア |
研究開始時の研究の概要 |
極低出生体重児の救命率は向上したが,3割に発達障害を認めている。長期入院による親子分離は親の養育レジリエンスの低下につながり児の神経行動発達にさらなる悪影響を及ぼす可能性がある. 親の面会行動と養育レジリエンスや児の神経行動発達との関連性を解析した研究はほとんどない。本研究は,独自のNICU家族面会モニタリングシステムを用いて極低出生体重児の診療と家族の面会行動を定性・定量的に解析し,家族面会が退院後の親の養育レジリエンスを向上させ発達促進に効果的かを検討する.面会行動に関わる養育レジリエンスを高める要素を明らかにし,極低出生体重児の発達支援に繋げることが目標である.
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研究実績の概要 |
2023年度は、研究の最初のステップとして、極低出生体重児(VLBW)を対象に、①親の面会の頻度・時間と、児・家族背景との関連、②児の背景・家族の面会行動と、児の修正1歳半の発達検査指数との関連を後方視的に検討した。①については、NICU入院中の家族の1週間当たりの面会頻度は母6(IQR 4-7)日、父3(IQR 2-4)日、1回当たりの面会時間は母2.6(IQR 2.0-3.5)時間、父1.9(IQR 1.5-2.7)時間で、父と母の面会時間は正の相関を認めた(r=0.66, p<0.001)。自宅からの通院時間が長いほど母の面会頻度は減少した(OR 0.08 [95%CI 0.01,0.33])。また兄姉の存在により父母ともに1回当たりの面会時間は減少した(父p=0.002、母p=0.009)。②については、修正1歳半の発達検査で母の1回あたりの面会時間が長いほど児の発達指数は高かった(p=0.014)。この検討は2024年の日本周産期・新生児医学会学術集会で報告予定である。 また、家族の面会支援の一つとしてオンライン面会がある。当院ではいつでも会えるオンライン面会(テレプレゼンス)を実践し、家族とスタッフにもたらす影響について検討した。結果、介入前後で親のうつは低下し、親とスタッフの9割以上がテレプレゼンスは家族のストレスを増やさないと回答し,親の88%できょうだいに良い変化を感じていると回答した.また100%の親が,カメラで児の様子を見ることで実際に会いに行きたくなったと回答した.またスタッフ全員がNICUにこのシステムがあることが有益だと回答した。この検討について現在論文投稿中である。 そのほかファミリーセンタードケアに関する当院の取り組みについて、シカゴで開催されたAcademy of Breastfeeding Medicine, 28th annual international meetingにて招待講演で発表した。またコロナ禍での当院の面会状況について韓国でのthe 5th Korea-Japan-Taiwan Joint Congress on Neonatologyで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終的な目的はNICUにおける家族面会は、親の養育レジリエンスを高め、極低出生体重児(VLBW)の発達促進につながるかを、家族面会を定量的に評価できるNICU面会システムを活用して検証することである。 現在までの進捗状況は、前述のとおり、親の面会行動に関わる親と児の背景要因、および親の面会行動と児の発達検査指数との関連について、後方視的に調査した。また、オンライン面会システムが家族やスタッフに与える影響を調査した。それらの結果をもとに、今後の前向き研究を計画中である。
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今後の研究の推進方策 |
<今後の研究の推進方策> ①家族との情報共有や家族中心の医療が親の面会行動に与える影響を明らかにするための,育児応援アプリケーション・出生前訪問や家族中心の医療と面会行動との関連の解析: 後方視的研究の結果を踏まえ,2024年以降入院した児を対象に,質問票で家族背景を調査し,家族中心の医療の介入(出生前訪問,育児応援アプリケーション,カンガルーケア,直接授乳など)が面会頻度や時間に関連するかを前方視的に評価する。 ②親の面会の多寡や内容が退院後の養育レジリエンス向上や児の神経行動発達促進に効果的があるかを明らかにするための,親の面会行動と児の短期予後や神経行動発達,親の養育レジリエンスとの関連の評価: 面会頻度・時間と,児の短期的予後(入院期間,母乳育児率,頭部MRIでのKidokoro scoreなど),児の神経行動発達(修正1歳6か月の新版K式およびM-CHAT),退院後1か月,6か月の両親の養育レジリエンス,QOL,うつ,児への愛着との関連を評価する。
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