研究課題/領域番号 |
23K16489
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山口 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30782148)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 糖尿病 / サルコペニア / 骨格筋 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化や生活習慣の変容、遺伝的特性により高齢者糖尿病の蔓延が深刻である。高齢者糖尿病では骨格筋低下との相互関連が多く認められ、要介護状態への移行や健康寿命の短縮を引き起こす主な要因となっている。これまでの研究にて、高齢糖尿病患者の骨格筋低下予防には食生活が大きく影響することを示した。一方で、糖尿病予防に対する栄養制限と介護予防としての骨格筋低下に関する低栄養対策が相反することにより、高齢糖尿病患者は骨格筋低下予防への適切な栄養管理が行えていないことが示唆された。本研究では、高齢糖尿病患者を対象に骨格筋低下予防のための栄養素及び摂取方法を解明し、骨格筋低下を予防する栄養介入支援モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
高齢化や生活習慣の変容、遺伝的特性により、高齢者糖尿病の蔓延が深刻である。高齢者糖尿病では骨格筋低下との相互関連が多く認められ、要介護状態への移行や健康寿命の短縮を引き起こす主な要因となっている。我々はこれまでの研究において、高齢糖尿病患者の骨格筋低下予防には食生活が大きく影響することを示した(Yamaguchi et al. 2022)。一方で、糖尿病予防に対する栄養制限と介護予防としての骨格筋低下に関する低栄養対策が相反することにより、高齢糖尿病患者は骨格筋低下予防への適切な栄養管理が行えていないことが示唆された。その知見を踏まえ、本研究では、高齢糖尿病患者を対象に、骨格筋低下予防のための栄養素及び摂取方法を解明し、高齢糖尿病患者の骨格筋低下を予防する栄養介入支援モデルを構築することを目的とした。2023年度は、パイロット調査として、健常高齢者を対象に骨格筋低下と栄養素の関連について、3日間食事記録調査及び血液データ(アミノ酸、糖、脂質、ビタミン、ミネラル、カロテノイド)を用いて栄養素を算出し、骨格筋力(SMI値)・筋力(握力)との関連を縦断的に解析した。その成果は国際学会にて報告し、現在論文執筆中である。さらに、骨格筋機能低下を予防するのに有用な栄養摂取方法を解明するために、ライフログ記録アプリを活用した研究準備を進めている。所属機関の倫理委員会より承認を得た後、データ収集を実施する予定である。また、骨格センシングを用いた身体機能評価に関して、Pose-netにより骨格筋機能得点を算出し受け取った身体動作をコグニティブコンピューティング技術を用いて体格の座標と骨格の特徴点に基づき定量評価する手法を検討した。工学研究者と連携し研究調査の実施に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者のリクルート及びデータ収集が当初の計画より遅れている。骨格筋評価において、有用な評価方法や具体的な手法に関して何度も議論を重ねる必要があり、当初の計画よりも時間を要した。本研究は、糖尿病に罹患している高齢者をターゲットとしているため、初年度から糖尿病高齢者への研究調査を計画していたが、これまでの先行研究においても骨格筋機能の低下に有用な栄養素及びその摂取方法を解明した研究はなかったことから、まずはパイロット調査にて健常高齢者を対象に研究調査を実施することとした。以上が、進捗が遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度実施した骨格筋低下と栄養素との関連に関する調査の結果をまとめ、国際誌へ報告する。さらに、骨格筋低下と栄養摂取方法との関連及び骨格センシングを用いた身体機能評価に関するパイロット調査を継続する。骨格筋低下と栄養摂取方法との関連に関する調査においては、ライフログデータ及び食生活に関する主観的データと骨格筋低下との関連を明らかするために、地域在住高齢者を対象に質問紙及びライフログ記録アプリを用いて食事ごとの栄養データ(タンパク質、脂質、不飽和脂肪酸、n-3脂肪酸、n-6脂肪酸、コレステロール、炭水化物、糖質、食物繊維、塩分、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、セレン、モリブデン、ビタミン、葉酸)の記録及び摂取頻度・時間に関するデータを収集する。骨格筋評価については、Asia Working Group of Sarcopeniaの診断基準に従って、骨格筋量(Skeletal Muscle Index)、骨格筋力(握力)、歩行速度を測定する。骨格センシングを用いた身体機能評価に関する調査においては、身体動作の観測スペースを選定、汎用的なコンピュータと連動する定点のWebカメラから、身体動作時のライブ画像を自動的に、ローカル環境で実行可能な機械学習・事前学習済みのポーズ推定モデルに入力する技術基盤を設計する。また、オリジナルなライブ画像を一切保存せず、モデルから出力された体格の骨格特徴点の2次元座標を収集・記録、さらに身体動作を計測する骨格センシング技術の開発を行う。工学研究者とともに技術開発後、試験運用した後にパイロット調査を実施する。
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