研究課題/領域番号 |
23K16499
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
奥平 倫世 帝京大学, 薬学部, 助教 (80961010)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 嚥下障害 / 服薬補助 / 薬物の溶出 / 薬物動態 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者は多くの薬剤の服用を必要とする一方で、認知機能や身体機能の低下により、服薬コンプライアンスが著しく低下する場合がある。臨床現場では嚥下障害に対する服薬補助を目的として、服薬補助ゼリーやとろみ調整剤などの嚥下補助剤が使用されている。嚥下補助剤で薬剤を服用することにより、薬剤の咽頭残留や誤嚥の防止が可能となる。しかし、嚥下補助剤と薬との相互作用についてはほとんど報告がない。 本研究では薬が溶出する過程に着目し、in vitroの溶出試験を行うことで、嚥下補助剤が薬剤の溶出に与える影響を明らかにすることで、嚥下機能の低下した高齢者に対して適切な嚥 下補助剤の使用方法を提案することを目的とする。
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研究実績の概要 |
高齢者などの嚥下障害患者において薬を服用する際にとろみ調整剤でとろみをつけた水(とろみ水)を使用することがあるが、とろみ水が薬の溶出に与える影響についてはほとんど報告がない。本研究では、in vitroの溶出試験法を用いて、薬をとろみ水に浸漬することで溶出挙動が変化するのかどうかの解析を行なっている。 これまでにエドキサバン普通錠およびOD錠について、とろみ調整剤の種類、とろみの強さ、錠剤の浸漬時間、溶出試験液のpHについて詳細な検討を行なった。 その結果、エドキサバン普通錠では全ての条件でとろみ水による溶出への影響が見られなかったのに対して、エドキサバンOD錠ではとろみ水への浸漬により溶出が遅延することが明らかとなった。このことから、エドキサバン錠における溶出の遅延は、主成分であるエドキサバンではなく、普通錠またはOD錠のみに含まれる添加剤が原因で起こることが想定される。 また、試験液のpHが高い条件(高齢者や胃酸分泌抑制剤服用患者等の胃酸のpHが高い患者を模倣した条件)では溶出が顕著に遅延することが明らかとなった。この結果は我々の知る限り先行研究では報告がなく、新規の知見であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究として進めていた他の研究について、共著者の転出に伴い申請者が主として研究を進めることになった。2023年度の10-3月は研究論文のリバイスコメントに対する追加実験、再投稿の作業を行なっていたため、本課題研究に充てる時間が短くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は他の抗凝固薬(リバーロキサバン、ワルファリンK)について、エドキサバンと同様の条件で溶出試験を行う予定である。上記でも述べたように、溶出の遅延は主成分ではなく添加剤が原因と考えられるため、複数の薬剤を試験することで原因となる添加剤を絞り込むことができると考えている。
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