研究課題/領域番号 |
23K16513
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大槻 奈緒子 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任助教(常勤) (20909684)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 保健指導 / 高血圧重症化予防事業 / 指導実施方法 / 特定保健指導 / 医療レセプトビッグデータ / 実践モデル / 保健師協働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,医療レセプトデータに基づく,糖尿病の重症化予防を目指した特定健診および特定保健指導の有効性評価を行い,自治体保健師協働による効果的な保健指導実践モデルの開発を行う。 有効性の評価は,寝屋川市の国保・後期医療保険加入者の医療介護レセプトデータを用いて,特定健診および特定保健指導の有効性を後向きコホート研究で評価する。 保健指導実践モデルの開発は,上記の知見をもとに,先行研究や厚労省指針を加え,看護師・産業医・寝屋川市保健師で組織した専門家パネルで特定保健指導および重症化予防事業の実践モデルの叩き台を作成する。作成した実践モデルはランダム化比較試験で効果検証を行い,社会実装につなげる。
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研究実績の概要 |
本研究を実施するにあたり,あらかじめ大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターで研究計画の枠組みを作成し,寝屋川市健康づくり推進課で説明会を開催し,その後に寝屋川市健康づくり推進課内で打ち合わせを実施した。後日,大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターと寝屋川市健康づくり推進課と打ち合わせを複数回実施し,具体的な研究計画を共同で立案した。 1)面談シートを活用した2023年度の保健師が実施した保健指導対象者の実態把握 2023年4月に大阪大学と寝屋川市で専門家パネルを開催し,既存の面談シートを参考に,評価指標に関する意見出しと草案を作成した。2023年4月に大阪大学で面談シートの叩き台を作成,2023年5月に寝屋川市でブラッシュアップし,2023年6月に大阪大学と寝屋川市で調整,修正を行い,最終的に寝屋川市の承認を得て,2023年7月から11月まで調査運用を行った。分析は,対象者数を鑑みて,今年度は記述統計および質的な内容分析を実施した。 2)高血圧重症化予防事業の実施方法と降圧達成の関連 本年度は初年度であるため,今後の保健指導の実施方法を検討するために,降圧達成の関連を探索的に分析した。データは,寝屋川市が管理する国民健康保険データベースから2012~2021年度の既存情報と特定保健指導および重症化予防事業データから2014から2017年度の仮名加工情報を利用した。研究デザインは,2016から2017年度の高血圧重症化予防事業対象者684名のうち,2019年度の特定健診を受診し,特定健診の収縮期血圧において,高血圧重症化予防事業実施時の血圧から20mmHg以上の降圧を達成した253名と,降圧未達成であった214名を対象としたケースコントロール研究とした。暴露因子は高血圧重症化予防事業の実施方法とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,血圧に着目した効果的な保健指導の構築を目指すための保健指導の効果検証に向け,評価指標の探索を目的とした面談シートの運用や,高血圧重症化予防事業に対する保健師介入の有益性の検証を行った。 本研究の協働自治体である大阪府寝屋川市健康づくり推進課との連携体制を当初の想定よりも強力に構築することができたことで,保健指導対象者の実態把握が,実際の重症化予防事業対象者に対する保健師による保健指導の面談シート作成・運用で実施・検討することができた。そのため,実臨床と研究とがシームレスとなり,本年度は順調に研究が進展した。高血圧重症化予防事業の実施方法と降圧達成の関連においても,自治体でこれまで蓄積してきた重症化予防事業,特定保健指導データの提供が得られ,後向きに分析することで研究ロスが最小限となり,順調な研究進展につながった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果として,寝屋川市の保健指導対象者において血圧測定に対する心的負担感が少ないことや,血圧計の設置場所と血圧測定頻度は関連がある可能性が高いことが明らかとなった。さらに,高血圧重症化予防事業の保健師介入を行うことで,降圧達成が2.6倍であることが明らかとなった。これらの知見を用いて,次年度は効果的な保健指導の構築を目指した保健指導の効果検証の準備を行なっていく。また,高血圧重症化予防事業実施方法と減圧に関しては,社会実装に繋げるためのエビデンス創出を目指すために,より詳細な分析を行っていく。
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