研究課題/領域番号 |
23K16536
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
品川 潤 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (60934776)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 人工内耳 / クロスモーダル / 脳機能 / 可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
人工内耳手術後の言語聴取能は症例によって個人差が大きく,術前に術後言語聴取能を予想することは難しく,予想していたよりも成績が悪い症例も少なくない.そのような中で,どれほど聴覚皮質が他の感覚の処理に使用されているか(クロスモーダル可塑性)を術前に調べることによって術後言語聴取能を予想する方法がある.本研究では,一度起きたクロスモーダル可塑性から離脱し,人工内耳術後の言語聴取能を改善するためにはどのような介入が有効であるかを新規に見つけ出すことを目的としている.本研究の結果により,人工内耳治療がさらに発展することが期待される.
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研究実績の概要 |
補聴器で十分な聞こえが得られない高度・重度難聴患者に対して,唯一の治療法は人工内耳である.しかし,人工内耳手術後の言語聴取能は症例によって個人差が大きく,術前に術後言語聴取能を予想することは難しく,予想していたよりも成績が悪い症例も少なくない.そのような中で,どれほど聴覚皮質が他の感覚の処理に使用されているか(クロスモーダル可塑性)を術前に調べることによって術後言語聴取能を予想する方法が期待・注目されつつある.従来の研究は,どのような条件でクロスモーダル可塑性が生じるのかを調べる研究が多かった.しかし,本研究ではさらに一歩前進させて,一度起きたクロスモーダル可塑性から離脱し,人工内耳術後の言語聴取能を改善するためにはどのような介入が有効であるかを新規に見つけ出すことを目的としている.本研究の結果により,人工内耳治療がさらに発展することが期待される. すなわち,人工内耳患者の術後言語聴取能はばらつきが大きく,これには術前・術後のクロスモーダル可塑性の有無や程度が関与していると考えられる.どのような症例でクロスモーダル可塑性が強く生じているのかを検討すること,またクロスモーダル可塑性からの離脱に有効な介入方法を新規に見つけ出し,人工内耳術後の言語聴取能をより向上させることが本研究の最たる目標である. つまり本研究の核は「視覚情報処理に置き換わってしまっている聴覚野をいかにして聴覚処理の場に回復させ,人工内耳装用者における聴取能の改善を図る」ということにある.そのためには,一般的な人工内耳植込み術を予定している難聴患者の聴覚野においてクロスモーダル可塑性がどの程度起きているかを評価する必要がある. 当該年度は,人工内耳植込み術前の患者の聴覚野においてどの程度クロスモーダル可塑性が起きているのかを評価するためのモダリティの検索である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現段階で施行していることは,人工内耳植込み術前の患者の聴覚野においてどの程度クロスモーダル可塑性が起きているのかを評価するためのモダリティの検索である.申請書の段階では脳波を計測することによるクロスモーダル可塑性の多寡の評価を予定していたが,頭髪の剃毛の必要性など脳波計測によるクロスモーダル可塑性の評価は困難であることが発覚したため,その代替モダリティとしてMRI(DTIテンソル画像)を用いた神経成熟の評価という方法に切り替えて行っているところである.
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今後の研究の推進方策 |
このモダリティがクロスモーダル可塑性の多寡の評価に適しているかをまず確認する必要があり,そのためには少なくとも30人程度の被験者(人工内耳植込み術患者)が必要となる.当研究者が所属している施設では年間50~60件程度の人工内耳植込み術を施行しているので,今後1年を目途に症例数が集まると考えている.
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