研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会の本邦において, 心臓手術対象患者も高齢化しており, 術前の虚弱(フレイル) は術後合併症や生命予後の独立した予後予測因子として注目されている. 一方, 口腔機能の低下(オーラルフレイル)はフレイルに陥る前段階の症候群であり, 適切な介入により改善余地がある. しかし, 術前のオーラルフレイルの定まった評価指標は存在せず, ゆえに予防的介入の有効性についてのエビデンスも乏しい. そこで本研究ではオーラルフレイルの評価指標を確立することを目標としている.これらが明らかとなれば,医科歯科連携の基盤を確立できると期待される.
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研究実績の概要 |
超高齢社会の本邦において, 心臓手術対象患者も高齢化しており, 術前の虚弱(フレイル)は術後合併症や生命予後の独立した予後予測因子として注目されている. 一方, 口腔機能の低下(オーラルフレイル)はフレイルに陥る前段階の症候群であり, 適切な介入により改善余地がある. しかし, 術前のオーラルフレイルの定まった評価指標は存在せず, ゆえに予防的介入の有効性についてのエビデンスも乏しい. そこで本研究では術後合併症を予測するオーラルフレイルの評価指標を確立すること, またオーラルフレイルへの介入が口腔機能の改善, 並びに術後嚥下障害, 誤嚥性肺炎を中心とした周術期合併症を予防するかどうかについて検証を行うことを目的としている. 本年度では医科歯科連携の多職種からなる医療連携チームを立ち上げ, 患者情報の共有, 医療者への医科歯科連携の重要性について啓蒙活動、オンラインでの講習会を通じて,医科歯科連携への理解を深める取り組みを行っている. これらの活動は, 行政や各職能団体の後援も得て, その基盤を広げており, 前向き研究に向けての調整を行っている. また, 多職種によって蓄積された診療データを後ろ向きに解析を行っており,心臓外科術後の嚥下機能障害を惹起する危険因子についての調査を行った. その結果術前の発声機能 (maximum phonation time)が術後嚥下障害の独立した危険因子であることを明らかとした. また発声機能は心臓外科患者の中長期予後にまで影響を及ぼすことを報告した.
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