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間質性肺疾患患者に対するCTによる肺容積評価の臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K16580
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分59010:リハビリテーション科学関連
研究機関埼玉県立大学

研究代表者

善田 督史  埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 大学院研究員 (10911753)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
キーワード間質性肺疾患 / 肺容積 / 胸部CT画像 / Quality of life / 日常生活動作 / 持久力 (6分間歩行試験) / 呼吸リハビリテーション / 呼吸機能 / 持久力 / 呼吸困難
研究開始時の研究の概要

間質性肺疾患(ILD)患者は病態進行に伴い、肺容積の低下や呼吸機能低下、筋力低下、持久力低下、日常生活動作(ADL)などに影響を及ぼす.病態進行の評価には、呼吸機能検査とコンピューター断層撮影(CT)検査があるが、呼吸機能検査は指示理解が困難な患者には実施できない.一方、CT検査は患者努力を要することなく測定可能だが、病態進行の定義が定量化されていない.
申請者はILD患者を対象にCT検査による肺容積の定量化を行い、それらが肺線維化や持久力、ADLと関連していることを予備研究で見出した.本研究計画は、これら研究成果を発展させ、肺容積がILD患者の臨床像を経時的に反映しているかを解明する.

研究実績の概要

間質性肺疾患(ILD)の病態進行に対する評価として呼吸機能検査が挙げられるが、咳の頻回な患者や重症例では測定できない事がある。一方、胸部コンピューター断層撮影 (CT)による重症度評価は患者の努力を要することなく撮影が可能だが、まだ定量的な評価が確立していない。本研究はILD患者のCTによる肺容積が臨床像を経時的に反映しているかを解明することを目的とした。
令和5年度はILD患者77名の肺容積と関連因子の検証を行った。その結果、肺容積は肺機能検査の肺活量(r=0.65、P<0.01)、努力性肺活量(FVC) (r=0.56、P<0.01)、肺拡散能力(r=0.33、P<0.01)、全肺気量(r=0.83、P<0.01)と関連があった。さら、肺容積の精度を確認するため肺容積と全肺気量の誤差をBland-Altman analysisを用いて、誤差を検証した。その結果、比例誤差はなく加算誤差が779mlあった。これは、先行研究の680-1000mlと近似した値となっており、本研究結果の精度が保証されたと考えられる。また、肺容積はシアル化糖鎖抗原KL-6(KL-6)(r=0.44、P<0.05)や持久力 (6分間歩行距離、6MWD) (r=0.43、P<0.05)、The Nagasaki university Respiratory ADL Questionnaire (NRADL)(0.48、P<0.05)との関連も示された。一方、FVCと各種パラメーターとの関連は、KL-6(r=0.28、P=0.21)、6MWD(r=0.45、P<0.05)、NRADL(r=0.51、P<0.05)であった。これら結果から、肺容積は、FVCよりも線維化や持久力、ADLをより反映していた。以上より、CTによる肺容積は肺機能と同等の精度があり、ILD患者の病態をより反映していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度は間質性肺疾患 (ILD)患者77名の肺容積や各種パラメーターのデータ収集を行い、関連因子の検証を行った。これら研究結果について、2024年9月に開催されるEuropean Respiratory Societyで発表し、その後論文投稿予定である。
現在までで、肺容積のデータは94名まで収集できているが、呼吸機能検査及び生化学検査、心臓超音波検査、持久力検査 (6分間歩行距離)、日常生活動作 (ADL) 評価、Quality of life (QOL) 評価のデータ収集は77名までとなっている。取り込み基準に該当しているILD患者は108名であるため、肺容積のデータにおいても14名が未解析であり、その他パラメーターについては31名が未解析となっている。当初の計画では50名程度のデータ収集を予定していたため、本研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
また、研究計画では令和6年2-3月に論文投稿予定となっていたが、令和6年3月上旬本研究の関連論文をPhysical Therapy Researchに投稿済みである。なお、論文内容としてはILD患者における6分間歩行試験(6MWT)と重症度や、呼吸困難、低酸素血症との関連について報告している。ILD患者において6MWTは、肺容積や肺機能検査同様に重症度判定に重要であるため、より鋭敏に重症度を把握する上で重要な報告と考える。
なお、令和7年度に予定しているADL及びQOLのカットオフ値の算出に関して、予備的研究を今年度に行った。ILD患者43名に対してカットオフ値を算出したところ、ADL及びQOL低下を示す肺容積のカットオフ値は300 ml前後であった。これより、令和7年度に行われる研究は概ね予定していた結果が得られることが予想される。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、間質性肺疾患患者 (ILD)患者31名分の未解析データを収集し、ILD患者108名で肺容積と各種パラメーターにおける関連因子の再解析を行う。研究計画に則り、従属変数を肺容積とし、独立変数を解析者数の10分の1にあたる10項目(年齢、体格、重症度[Gender, Age and Physiology score]、栄養状態[血清アルブミン値]、持久力[6分間歩行距離]、線維化のバイオマーカー[シアル化糖鎖抗KL-6]、炎症所見[C反応性蛋白]、筋機能[胸部骨格筋筋断面積]、日常生活動作 [ADL]、Quality of life [QOL])とし、重回帰分析を行う。データの欠損が10 %程度発生する事が見込まれるため、解析対象者数は98名程度が予想される。これにより、肺容積低下の関連因子を検証でき、呼吸リハビリテーションにおける治療や介入すべき対象が明確となると考えられる。これらの結果をまとめ、2025年2月にEuropean Respiratory Societyへ演題登録を行い2026年9月に発表する予定である。また、同時に論文化も行ってき、Respiration (Impact factor 3.7、2022年)へ投稿を検討している。
また、CT肺画像所見の定量的解析について、解析ソフトウェアの選定を行う。ILDの所見を示す蜂巣肺や網状影、牽引性気管支拡張を同定するソフトウェアについて、近年散見されている。CT画像所見の中でも、とりわけ蜂巣肺の判定が重要で、診断や投薬治療の判別にも用いられている。しかし、それらCT画像所見がADLやQOLを反映しているかは、検証されていない。今年度、解析ソフトウェアの選定及びライセンス契約を検討している。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 4年にわたる長期在宅生活が可能であった特発性肺線維症患者の一例2024

    • 著者名/発表者名
      善田督史、柚口菜津子、赤間美波、木戸聡史
    • 学会等名
      千葉県理学療法士会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 間質性肺疾患 (ILD)の評価と介入2023

    • 著者名/発表者名
      善田督史、柚口菜津子、赤間美波、木戸聡史
    • 学会等名
      日本理学療法士協会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 呼吸器疾患における骨格筋異常への物理療法2023

    • 著者名/発表者名
      善田督史
    • 学会等名
      日本理学療法士協会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [備考] Kido Laboratory (研究課題)

    • URL

      https://kido-lab-info.com/%e7%a0%94%e7%a9%b6%e8%aa%b2%e9%a1%8c%ef%bc%88%e7%a7%91%e7%a0%94%e8%b2%bb%e7%ad%89%ef%bc%89/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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