研究課題/領域番号 |
23K16583
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
石井 由起 杏林大学, 保健学部, 准教授 (80878372)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 失語症 / 動詞想起 / 心理言語学的要因 / 文法的要因 / 動詞想起のリハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳血管疾患等により発症する失語症では、言葉が円滑に思い出せなくなる。生活に支障が生じるため、言語セラピーは重要である。名詞想起の研究は進んでいる一方、意図を伝達する上で中心的役割を果たす動詞の検討は十分でない。失語症のある人々の動詞想起に心理言語学的、文法的な複数の要因がどう影響しているのか不明である。本研究では、失語症のある人々を対象に動詞想起に影響する要因を明らかにする。まず今後の動詞想起研究の基礎となる標準画像を作成し、 日本語を母語とする健常者を対象に基準データの収集を行う。次に失語症のある人々のデータ収集・解析により、生活の改善につなげる効果的なリハビリテーション法の提言を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、失語症者を対象として動詞想起に影響する心理言語学的および文法的要因を解明し、動詞想起のリハビリテーションへの提言を行うことを目的とした。標準画像を使用し、かつ健常データを元にして日本語母語話者での失語症における動詞想起の障害構造を検討する本邦では初めての研究である。名詞句と動詞の共起頻度を用いて、多数症例で認知言語学的な枠組みからの動詞想起に関する影響を解明しようとする点に本研究の特徴がある。また本研究は、リハビリテーション手法への応用や文産生障害に関する新たな検査法の開発にもつながる利点がある。 3か年計画の1年目である令和5年度は、パイロットスタディとして、健常者194名を対象に2項動詞32語の動作呼称課題を実施し、分析結果を日本言語聴覚学会で発表した。名称一致度の高かった16語を抽出し、一般化線形混合モデルにより固定効果に共起性項(名詞句と動詞の共起頻度の高低で2群)、年齢項(20代、30-40代、50-60代、70代以上)、それらの交互作用項、変量効果に参加者項、単語項を投入し、呼称反応潜時と正誤データを解析した。その結果、各群の正答率は97-98%であり共起頻度や年齢は影響しなかった。一方、平均反応潜時は共起頻度高群1.97秒、低群2.05秒だった。分析の結果、共起頻度が高い組み合わせの刺激で、かつ年齢が若いほど反応潜時が有意に短かった。また、70代以上では共起性の効果を顕著に認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロットスタディで2項動詞の分析を一部行った。動詞の種類を増やしてさらに検討を進めるために、動作呼称課題の刺激となる1~3項動詞と用例(名詞句と動詞の組み合わせ)をおおむね選定したところである。
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今後の研究の推進方策 |
動作呼称課題で用いる刺激絵を作成する。その後、動作呼称課題をパーソナルコンピュータ上で実施するためのプログラムを組む。プログラム完成後に、健常者データを収集し、解析を進める。
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