研究課題/領域番号 |
23K16586
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
天野 暁 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (20880892)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 感情認識技術 / 感情検出技術 / 表情トレーニング / 自閉スペクトラム症 / ソーシャルスキル / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)児に対して, 対人関係における困難さを軽減する目的で, 感情認識AIを用いた表情トレーニング(リハビリテーション)を提供し, 感情コンピューティング技術が, ASD児における「笑顔」「真剣」「お詫び」といった表情表現を支援することができるかを検討する. また, それと同時に, 他者の「怒り」「嫌悪」「悲しみ」「ニュートラル」といった感情を解釈できるかを検討する. さらに, これらの取り組みが社会生活レベルの対人コミュニケーションでの困難さを軽減できるかを検討する.
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)は, 自閉症候群・アスペルガー障害・広汎性発達障害など, いくつかの障害の総称として現在は考えられており, とりわけ社会的感情の相互作用が必須となる対人関係が苦手であることが特徴とされている. この特徴は, 感情の共有(他者の感情の解釈や自身の感情の表現)が困難であることにも由来し, 結果として社会的交流の問題を大きくしていると考えられている. ASDの人々は人口の1%に及んでいるとも言われており, 特にその中でも発達期である子どもは, そのような感情の共有機能を向上させやすい時期であるとして, 感情認識技術を取り込んだアプローチが海外では展開され始めている. 我々は, ASD児に感情の表現と識別のための支援として, ASD児の対人関係における困難さを軽減する目的で感情認識AIを用いた表情トレーニング(リハビリテーション)に向けた研究を実施している. 本プロジェクトに向けて, 感情推定コンピューティングとして, Affectiva社の感情分析ソフトウェアである心sensorシステムを研究室に導入して大学生を対象とした評価特性検討予備実験を行なっている. 本システムは, 世界90カ国から収集された50億以上の顔フレームデータを基盤とし, 加えて990万件以上の表情画像データでディープラーニングを行い推定精度が向上されている. かつ, 顔面動作符号化システム(FACS)理論に基づき, FACSの認定資格者による教師データを用いた見込みのあるものである. 上記予備研究は, 倫理審査通過後に, 実施され, 予定された40名の臨床データ取得も完遂して, 現在解析を進めている状況である. また, 既に臨床利用を検討するに値する評価特性を確認できているため, 現在ASD児における評価特性検討に進む準備を進めている状況である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中核となる感情推定コンピューティングについては, 高い一貫性と精度をもつAffectiva社の心sensorをすでに研究室に導入しており, 大学生を対象にした予備実験や他大学との共同研究が進んでいる. 上記, 評価特性検討予備実験研究は, 倫理審査通過後に, 実施され, 予定された40名の臨床データ取得も完遂して, 現在解析を進めている状況である. また, 既に健常者における臨床利用を検討するに値する評価特性を確認できているため, 現在ASD児における評価特性検討に進む準備を進めている状況である. また, 心sensorと合わせて治療実践に必要な心sensor for Training という表情表出トレーニングのためのソフトウェアの導入も進んでおり, 複数の関連施設PCでのインストールと使用方法についてのレクチャーも行っている. 上記したように, ASD児リハビリ領域における治療としてソーシャルスキル訓練を導入する準備は進んでおり, トレーニングに利用予定の感情推定コンピューティングの実施可能性も適切な範囲であると判断できるため, 国内での感情コンピューティング技術を導入した取り組みを医療や療育へ導入する取り組みとして進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
感情コンピューティング技術として, Affectiva社の心sensorを用いた大学生を対象にした予備実験や他大学との共同研究が進んでいる. 特に, 評価特性検討予備研究は, 既に倫理審査にて承認され, 予定された40名の臨床データ取得も完遂している. そのため, 現在, 予定していたデータ抽出手続きとその後の統計解析を進めている状況である. また, 上記の統計解析の進んでいる範囲にて, 既に健常者における臨床利用を検討するに値する評価特性を確認できているため, 現在ASD児における評価特性検討に進む準備を進めている状況である. 今後は, 健常者でのデータ取得手順を, ASD児における実践用にブラッシュアップして, 30名以上のASD児におけるデータ取得に進む準備を進めている. データ取得対象施設の運営管理者や作業療法士間を交えて, 研究計画に対するコンセンサスは形成されており, 倫理審査を目指した研究計画書の作成に移行する段階にある. また, 心sensorと合わせて治療実践に必要な心sensor for Training という表情表出トレーニングのためのソフトウェアの導入も進んでおり, 複数の関連施設PCでのインストールと使用方法についてのレクチャーも行っている. 今後は, 表情レベルでの感情の解釈と表出機能の改善を目指した, 症例実践を行う中で, 介入手続きを標準化して, 将来的に症例数を増やした研究デザインに発展させる予定である.
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