研究課題/領域番号 |
23K16601
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山下 鷹也 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (90793266)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 神経筋電気刺激療法 / 造血器腫瘍 / リハビリテーション / 同種造血幹細胞移植 / 化学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
造血器腫瘍患者では、腫瘍によるサルコペニアのみならず、化学療法や造血幹細胞移植などの強力な治療による侵襲や副作用・合併症による体力の低下、長期入院による廃用などにより二次性サルコペニアはほぼ必発である。サルコペニアが進行すると、治療の奏効率や生存率が低下することが報告されており、サルコペニア予防が重要である。我々は全身振動トレーニングを取り入れた臨床研究を現在遂行中であるが、合併症により臥床を余儀なくされている患者で行えないことが課題である。本研究では、造血器腫瘍の患者において、臥床したままで施行可能な神経筋電気刺激療法を取り入れ、サルコペニアの予防から早期退院につなげることを目標としている。
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研究実績の概要 |
我々はこれまで造血器腫瘍患者の骨格筋量の変化について研究を行ってきた。その結果の一部として、下肢の骨格筋量は造血幹細胞移植後3-4週時点で移植前の93%に低下すること、骨格筋量の減少率は男性の方が女性よりも低下する傾向にあることなどを見出してきた。治療後早期かつ定期的にリハビリテーションを行うことが重要であることは明白であったが、治療直後の副作用や合併症により離床することがしばしば困難であることが問題点として提起された。そこで今回、ベルト式神経筋電気刺激療法を用いることで、臥床したままでのリハビリテーション介入を行い、骨格筋量の維持とADLの維持を目的とした研究を計画した。 本研究の主目的は造血幹細胞移植や化学療法を受けている造血器腫瘍患者において神経筋電気刺激療法が骨格筋量を維持できるか検討することである。そして副次目的として神経筋電気刺激療法の安全性、生存率や入院期間の短縮に寄与するか検討することとした。 初年度は、血小板低値の症例や凝固異常がある症例において神経筋電気刺激療法を本当に安全に行えるかを確認した。既報で稀ではあるが報告されている深部出血を超音波検査や血液検査、CT検査を用いることで有無を確認した。このフェーズでは3-4例の登録を目標としていたが、血小板が2万台と低値の症例を含む4例で行うことができ、全例で深部出血は認められず安全に神経筋電気刺激療法が可能であった。他の合併症も認められず、同種造血幹細胞移植患者および化学療法を受けている造血器腫瘍患者においても神経筋電気刺激療法は問題なく行えるリハビリテーションであると判断した。今後は登録症例を増やし、有用性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画において、初年度は安全性の確認と実際の症例登録を進めることを目的としていた。4例で実施し安全性は問題なかった。その後の症例登録が進んでいないため研究計画からはやや遅れている。原因は1症例につき毎日30分間つきっきりの時間を要することであった。また、正規のリハビリテーションの一環として行う特性上、17時以降に行うことができない。多忙な病棟業務や外来業務、病院関連業務と並行して行うことが難しく、次年度に調整が必要であることが判明し所属長と調整を行った。
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今後の研究の推進方策 |
フェーズ2では、造血幹細胞移植患者および造血器腫瘍に対して化学療法を行っている症例において神経筋電気刺激療法を行い、登録症例を増やすことを目標としている。目標症例数は50例であり、次年度に30-40症例を組み込むことを目標としている。進捗は遅れているが、次年度は医局員の増加により研究者の病棟業務が減ることで本研究に割くことができる時間が増えるため集中して取り組むことができる。 フェーズ3では、当科の過去の症例と比較することを計画している。フェーズⅡまでに得られたデータを過去の患者のデータとpropensity scoreによりマッチングを行って比較する。従来のリハビリテーションを行った患者およびリハビリテーションを行わなかった患者と比較し、神経筋電気刺激療法が有効かどうかを検討したい。また、骨格筋量維持に関与する因子を抽出することで実臨床に貢献できることを期待している。
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