研究課題/領域番号 |
23K16605
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
渡邉 拓 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 理学療法士 (00932831)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 反復的体性感覚刺激 / 体性感覚機能障害 / 体性感覚誘発電位 / 脳卒中 / 安静時脳律動 |
研究開始時の研究の概要 |
体性感覚機能障害は脳卒中発症後に数多く認められるが,この症状に対する有効な治療法は確立されていない.末梢からの反復的体性感覚刺激(Repetitive Somatosensory Stimulation; RSS)は健常人の体性感覚機能を向上させることが示されているが,脳卒中症例への介入効果は一貫していない.本研究課題では,急性期脳卒中症例に対するRSS介入効果を明らかにするとともに,各症例の脳活動の個人差からRSS介入効果の個人差に関連する要因を解明する.これにより体性感覚機能障害に苦しむ脳卒中症例のQuality of life(QOL)向上に寄与する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,急性期脳卒中症例の体性感覚機能障害に対する末梢神経感覚刺激介入効果およびその介入効果の神経生理学的背景を明らかにすることである.介入効果の神経生理学的背景を明らかにするために体性感覚誘発電位(SEP)を使用するが,このSEPと体性感覚機能の関連に関して不明な点が多い.そのため,まずは急性期脳卒中症例のSEPと体性感覚機能障害の関連性を検証した.対象は運動もしくは体性感覚機能障害を有する急性期脳卒中症例26例とし,解析時には認知機能障害3例、失語症2例、SEPデータ不備2例の計7例は除外し19例(年齢73.5±9.1歳;女性8例;脳梗塞14例,脳出血5例)が解析対象となった.臨床評価およびSEP評価は発症後7日以内に実施した.固有感覚評価にはStroke Impairment Assessment Set(SIAS)位置覚上肢項目を,触覚評価にはSemmes-Weinstein monofilament test(SWMT)を,高次体性感覚機能評価には二点識別覚(2PD)を用いた.SEPの20,25 ms付近で生ずる成分のPeak to peak値(N20/P25)と,45 ms付近で生ずる成分のBaseline to peak値(P45)を算出し,SEP消失例のSEP振幅値は0とし,算出された両側のSEP振幅値からSEP振幅比を算出した(麻痺側/非麻痺側),各成分のSEP振幅比と体性感覚機能障害の関連はSpearmannの順位相関係数を用いて検証した.結果,N20/P25振幅比およびP45振幅比は全ての体性感覚機能と有意に相関し,SEP振幅比が低いほど体性感覚機能は低値だった(p < 0.05).以上の結果より,SEPは急性期脳卒中症例の体性感覚機能障害を評価する神経生理学的手法として妥当であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急性期脳卒中症例のSEPと体性感覚機能障害の関連を検証するため,データを計測する必要があり,本実験を実施するまでに至らなかった.また,症例数が想定していたよりも少なかったことが理由としてあげられる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,前半にて2023年度に計画していた内容(実験1)と,2024年度に計画していた内容(実験2)を同時に行う.実験1では,反復的体性感覚刺激(RSS)介入前後の即時的変化のみを検証する予定であり,実験2ではRSSを2週間継続で介入した際の短期的介入効果を検証する予定であった.これらの実験をまとめて,初日に即時的介入効果の検証を実施,その後二週間介入し,短期的介入効果を検証することにより研究の進捗の遅れを修正する予定である.
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