研究課題/領域番号 |
23K16626
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
大野 勘太 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (70827823)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 橈骨遠位端骨折 / アプリケーション / 行動変容 / 骨折 / 上肢 |
研究開始時の研究の概要 |
橈骨遠位端骨折の術後リハビリは外来診療が中心となり,診療時間が限られ,機能改善を中心に展開される傾向にある.しかし,リハビリ終了後の患者の90%以上が活動・参加面の困難感が遷延化することが報告されている.脳卒中患者の麻痺手の使用を促進するアプリケーションであるADOC-Hの対象疾患を橈骨遠位端骨折としたADOC-DRFの開発を進めている. 本研究では,1)ADOC-DRFのアプリ開発を行い,2)ADOC-DRFが患手の使用を促すかを検証する.本研究によって,橈骨遠位端骨折患者の日常生活における患側上肢の安全かつ適切な使用を促し,QOL向上のための具体的なアプローチが確立することが期待される.
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研究実績の概要 |
橈骨遠位端骨折後に掌側ロッキングプレート術を施行した患者を対象に,患側上肢の日常使用を促すためのアプリケーション(ADOC-DRF)を開発中である.日常生活において骨折後の上肢の使用場面の活動を21名の専門家パネルによって選定する調査を実施した.その後,疫学的に発生頻度が最も高い高齢女性への適応を想定し,選択された活動場面のイラストをイラストレーターに制作してもらい,アプリケーション開発の前段階としてリーフレットバージョンのADOC-DRFを作成した. その後,リーフレットバージョンのADOC-DRFの臨床有用性を検証するために,橈骨遠位端骨折後患者を対象にADOC-DRFを適応した介入研究を実施した.比較対照群を設けていないものの,関節可動域や疼痛に関する自己効力感(PSEQ),上肢使用時の困難感(QuickDASH)において,介入前後で有意な改善が認められた.さらに,実際にADOC-DRFを使用した作業療法士を対象とした臨床使用感についての調査を実施した結果,従来の口頭でのコミュニケーションを中心とした手法に比して,上肢の日常使用に関する患者との意思決定を促進を支援されたことが報告された.なお,リーフレットバージョンの開発研究については現在,国際論文を投稿中である. 試作したADOC-DRFのイラストの選定の段階では,本邦の作業療法士のみを対象としていたため,本邦の保険制度や文化的背景を強く反映したものとなっている.現在オーストラリアの共同研究者とともに,英語圏の診療状況や文化的背景を考慮したADOC-DRFの作成を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたADOC-DRFのイラスト選定,リーフレットバージョンの試作,臨床有用性の検討についてはすでに完了しており,論文投稿まで着手済みである.また,英語圏のADOC-DRFの開発に向けてオーストラリアに渡航し,研究者とのミーティングを実施して,2024年7月よりデータ収集を開始予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年7月を目処にオーストラリアを中心とした英語圏バージョンのADOC-DRFの開発を行っていく.オーストラリアでのデータ収集のプラットホームが確立した後には,アジア圏など異なる文化圏での開発も着手する. なお,本邦においてもADOC-DRFを使用した介入の効果検証のために無作為化比較試験を実施予定であり,データ収集施設への研究説明など準備段階である.
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