研究課題/領域番号 |
23K16628
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
水田 直道 日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (30962766)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 歩行 / 筋シナジー / 運動制御 / 脳卒中 / 神経メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の実験計画は,いくつかの実験条件を設けることで頑健な縦断データの収集を可能とし,残存能力や制御戦略を捉えるとともに,運動学・神経生理学・心理学的要因を測定することで筋シナジーの制御不全の回復に寄与する要因を包括的に把握する.これらの機序が解明されることにより,脳卒中患者の歩行能力を最大限回復させるための病態分析に基づいた新手法の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
冗長な運動自由度を低次元化するために,ヒトの歩行においては筋シナジーの働きを用いて制御していることが明らかになっている.多くの脳卒中患者では歩行時の筋シナジーの制御不全がみられ,これらは歩行能力の低下に強く影響する.一方,脳卒中患者における筋シナジーの制御不全の回復パターンならびに回復に寄与する要因は未だ明らかではない.本研究では,脳卒中患者の筋シナジーの制御不全の回復パターンならびに回復に寄与する要因を明らかにすることを目的とする.これらの機序が解明されることにより,脳卒中患者の歩行能力を最大限回復させるための病態分析に基づいた新手法の開発を目指す. 令和5年度は実験機器の整備と実験環境の構築,ならびにデータ収集を中心に実施した.脳卒中患者15名を対象に,歩行を行う際に運動学的変数と筋電図学的変数を記録した.快適速度歩行条件に加え最大速度歩行条件や二重課題歩行条件を実施した.データ解析にはMATLABを用い,記録された運動学的データや筋電図データの解析プログラムを作成した. 脳卒中患者15名のデータ収集は,有害事象なく経過した.快適歩行時における筋シナジーは3つの併合パターンに分類され,それぞれ股・膝関節伸展筋と足関節底屈筋の併合,股・膝関節伸展筋と膝関節屈曲筋,そして股関節屈曲筋・足関節背屈筋と膝関節屈曲筋が併合していた.歩行速度は運動麻痺および体幹機能と有意な関連を持つが,シナジー数とは関連を示さなかった.自立歩行1ヶ月後の歩行速度は2ヶ月後の体幹動揺の減少と関連した.自立歩行早期のシナジー数は1ヶ月後の歩行速度の改善と関連した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は機器の故障がありデータ収集・解析にやや遅れが生じたが,研究環境が整備され,データ収集とデータ解析を進めることができた.データ解析に必要なMATLABを用いたプログラミングは完成しており,運動学的データや筋電図データの解析は順調に進んでいる. 筋シナジーの制御不全は経過とともに3つのサブグループ(改善・不変・悪化)に分類される傾向があり,初回測定時点の歩行特性に依存することや経過に伴う制御戦略(過剰な皮質制御・転倒恐怖心)の改善と共変する可能性があった.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,研究環境が整備され,データ収集とデータ解析を進めることができたため.令和6年度は追加のデータ収集とサブグループ毎の運動学的要因,神経生理学的要因,心理学的要因を分析することによりそれぞれのサブグループ毎の病態を理解する.これらは縦断データの特性を活かし,時間的先行性も分析していく.令和7年度は得られたデータから明らかになったグループ別の病態を評価するとともに,サブグループの分類根拠アルゴリズムを構築する.これらの研究成果を国際学会等で多くの海外研究者とディスカッションし,それを踏まえて国際誌へ投稿する.令和8年度は各グループに応じた最適な歩行リハビリテーション戦略を構築し,これらの成果を国際誌へ投稿する.
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