研究課題/領域番号 |
23K16646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
屋富祖 司 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50971272)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | axonal regeneration / GABA / Glycine / KCC2 / Sciatic functional index / RNA sequencing / Tibial nerve / 神経軸索の変性と再生 / ミクログリア / 運動機能回復 |
研究開始時の研究の概要 |
以下の実験を行い、軸索再伸長(再生)を加速する因子を特定する。 坐骨神経の1枝である脛骨神経の切断・縫合モデルを作製し、SFIを用いて運動機能評価を行う。脛骨神経の再生過程を免疫組織化学法並びに電子顕微鏡観察で評価する。さらに、脊髄におけるマーカー分子の動きを指標として変性、初期の再生過程を解析する。 その際に、①ミクログリア除去剤入り飼料を摂取させて、神経損傷後に生じるミクログリアの活性化を抑える。②GABA/グリシンの働きを抑制性に導くKCC2の発現量が半減したマウスを用いる、の2種類で再生過程に違いが生じるかを明らかにし、再生の加速因子となるかを検討する。
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研究実績の概要 |
【研究目的】神経軸索の損傷は、その神経細胞が関与する神経回路や末梢器官の障害をまねく。運動機能の回復のために、早期からの運動療法を含めたリバビリテーション介入に加えて、軸索の再伸長をすみやかに達成させるための試みは極めて重要である。本研究は、変性から再生への移行ならびに軸索進展を加速する因子は何か?を問いとして、行っている。令和5年度は主に以下の2つの成果を上げることが出来た。 【本年度の研究成果】 1つめは、GABAの機能を抑制性に導く輸送体(KCC2)の低下により軸索伸長が加速されるかの解析を続けその成果を論文にまとめた。脛骨神経切断・縫合モデルマウスをKCC2の発現量が半減しているKCC2ノックアウトマウスのヘテロ接合体と野生型で作製し、両者の再生過程の違いを解析した。その結果、ヘテロマウスでは、運動障害が軽度で、軸索の変性、軸索の再伸長、再髄鞘化が速く進行していた。さらに、運動ニューロンに発現するマーカーの解析から、行動解析、電子顕微鏡解析の結果が裏付けられた。以上のことから、KCC2の低下によるGABA/グリシンの興奮性作用が、軸索の伸長を促進し、運動機能の低下を軽減することが明らかになった。加えて、GABA/グリシンの興奮性ならびにKCC2の低下を誘導することにより、軸索の再生を促す治療法につながる可能性が示唆された。 2つめは、軸索再生と関連する遺伝子の解析を開始した。野生型、ヘテロ両方のマウスの脛骨神経を切断・縫合し、7日後に脊髄を摘出した。そして、野生型、ヘテロマウスそれぞれの、手術側と非手術側4種類の標本をmRNA解析に回したところである。今後、手術側で大きく発現変化する遺伝子、野生型よりヘテロマウスにおいて大きく変化する遺伝子を特定し、神経再生を促進する遺伝子を明らかにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたKCC2の働きを明らかにし、論文投稿し修正投稿も済ませた。さらに、遺伝子解析を開始し、解析結果を待っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
1つめの研究に関しては、Revise原稿を投稿中であり、結果を待っている。さらなる修正が必要であれば、追加実験などをする予定である。 2つ目については、今後、RNA解析の結果を待って、神経の再生に関与する因子の中でも、KCC2の発現変化と強く関係する遺伝子を特定し、その再生過程での発現現変化を解析する予定である。
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