研究課題/領域番号 |
23K16666
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
冨田 浩輝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 特任研究員 (10909261)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 高齢者 / 難聴 / 脳予備能 / 脳画像解析 / 認知症予防 |
研究開始時の研究の概要 |
要介護認定発生の主要因である認知症の予防は、本邦における喫緊の課題である。近年、高齢者の難聴は、認知症の予防可能なリスク因子の中で最も関連することが報告されており、難聴と認知症の関連は世界的に関心が高まっている。そのため難聴対策は、認知症予防の観点からも重要性が高まっているが、適切な難聴管理における検討は不十分である。 本研究の目的は、脳画像解析を用いて、認知機能維持に関連する脳予備能が、加齢性難聴の有無により異なるのかを解明することである。 本研究の実現により、認知症発症を遅らせる可能性のある脳予備能強化にとって、効果的な難聴管理が可能となり、今後の認知症予防施策の一助となることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、地域在住高齢者を対象とした縦断調査から、脳画像解析を用いて、認知機能維持に関連する脳予備能が、加齢性難聴の有無によって異なるのかを解明することを目的としている。また、認知症発症を遅らせる可能性のある脳予備能の強化にとって妨げとなる可能性のある加齢性難聴の重症度について、純音聴力検査における平均聴力や自己申告式の質問紙による聴力検査におけるカットオフ値を検討する。 令和5年度は、本研究対象者となる地域在住高齢者のベースライン調査におけるデータベースの整理を実施した。また、ベースライン調査のデータベースより、本研究対象者の基本属性、認知機能(Mini-Mental State Examination、記憶、注意機能、実行機能、処理速度)、および聴覚機能(純音聴力検査、自己申告式の質問紙による聴力検査)、MRI脳画像等の測定項目を解析するためのデータセットの作成が完了した。現在、ベースライン調査における加齢性難聴の有無で群分けを実施し、脳容量や認知機能をアウトカムとして、聴覚機能との関連について横断解析の結果をまとめている。また、本研究課題に関連する一部の成果については、国内外の学会での演題発表が実施済みであり、現在もいくつかの国内学会への演題登録の準備を進めている。なお、学会等で発表した結果については、国際誌への投稿に向けて原稿執筆を並行して進行している。さらに、今後の縦断解析に向けた追跡調査を進めており、おおむね順調に研究計画が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者所属機関にて継続中のコホート調査データベースから、本研究対象者となる地域在住高齢者を抽出し、解析のためのデータセットが作成完了している。解析対象者の選定基準は、年齢65~90歳、日常生活動作が自立、認知症・パーキンソン病・脳梗塞などの脳神経疾患の既往がなく、全般的認知機能が保たれており、要介護・要支援認定を受けていないものとした。なお、申請者所属機関の既存データベースには、脳容量、認知機能、平均聴力の情報が既に含まれており、順調にベースラインの横断解析を実施できており、難聴なし群と難聴あり群の間で基本属性の比較を行い、各群においてベースラインの脳容量、認知機能、平均聴力の横断的な関連の検討について結果のまとめが実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、地域在住高齢者における認知機能、聴覚機能、脳MRI画像の測定データを用いて、脳予備能や認知機能と聴力との関連について横断解析と追跡調査を継続して実施していく。メインアウトカムとしては、脳MRI画像から算出された脳容量と、全般的認知機能の指標であるMMSE、および認知機能評価ツール(National Center for Geriatrics and Gerontology Functional Assessment Tool:NCGG-FAT)を用いて測定される、記憶(Word list memory)、注意機能(Trail Making Test-A)、遂行機能(Trail Making Test-B)、処理速度(Digit Symbol Substitution Test)について追跡調査を実施する予定である。また、本研究で得られた結果は、積極的に学会発表や執筆作業をおこない、多くの研究者からの助言を参考として研究の推進を図る。
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