研究課題/領域番号 |
23K16679
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
塩田 有規 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60459089)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | サーベイランスシステム / kinesiophobia / 肉ばなれ |
研究開始時の研究の概要 |
肉ばなれの治癒状態を確認するための新たな指標を探すため、肉ばなれした筋肉を支配する末梢神経に着目し、肉ばなれを受傷した際、筋肉の損傷以外に末梢神経損傷が併発していないかを筋電図を用いて明らかにし、経時的に筋活動を計測することで、神経の回復具合についても調べる。この研究結果により、リハビリ時の再受傷を防ぎ、最短の時間で安全に復帰できるためのリハビリプロトコルをより精密に作成できるようになる可能性がある。また肉ばなれを受傷した選手の末梢神経損傷の有無、回復具合が分かれば、再発予防にも応用できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
研究者の所属する大学の陸上部の選手を中心に、肉ばなれを受傷した選手(被験者)を漏らさずピックアップするために、部の学生トレーナーや研究者が指導する大学院生らと協力して、われわれ独自の「肉ばなれサーベイランスシステム」を構築した。2023年度の1年間で、計68名の肉ばなれ受傷者を集め、そのうち60名がハムストリングの肉ばなれであった。われわれはこの1年間で、3年間で62件のHSIを調査したKellyらの報告に匹敵する被験者を集めることが出来たことになる。また受傷時のMRI画像だけでなく、受傷前のデータを収集するために、陸上部員全員に対し年3回、肉ばなれ検診を行い、筋力や関節可動域、体組成などのベースラインデータも収集している。 さらに、新規ハムストリング肉ばなれ(HSI)発症の予測に有効である可能性のある患者立脚型の評価指標であるHaOS(Hamstring Outcome Score)のデータを週に一度部員全員に対し行ったり、ハムストリング肉離れ受傷後の簡便な機能評価が可能なツールFunctional Assessment Scale for Acute Hamstring Injuries(FASH)の日本語版作成のための検証も共同研究として行っている。またHSI既往者の運動恐怖について、Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK-J)による調査を行い、HSIが運動に対する恐怖や心理的不安を引き起こすことを示唆するという結果を得た。これについては、2024年7月にEuropean College of Sport Scienceにて発表予定である。 今回のプロジェクトである「肉離れの新たな客観的指標の究明」について、多角的な角度からの研究・調査の礎を築くことが出来ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肉ばなれ受傷者をできる限りピックアップするシステムの構築に一年かけて取り組み、1年で68件という新規肉ばなれの被験者を集めることが出来た。肉ばなれについての他の論文でもここまでのN数を集めているものは非常に少なく、研究において一番の問題となる被験者の収集については、計画以上である。 さらに、検診を行うことで、受傷前の被験者のデータも収集出来ており、筋電図のデータだけでなく多角的な視点からの調査が出来そうである。その中で肉離れの再発に影響すると思われる、運動恐怖についての調査では、Tampa Scale for Kinesiophobiaの数値がHSI受傷有り群と無し群で有意な差が見られた。この結果については、国際学会で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
肉ばなれ検診での患者リクルート、その後のフォローアップのシステム構築がほぼ完成した。今回のメインアウトカムである肉ばなれ受傷後の筋電図変化の測定だけでなく、受傷前のベースデータも取れているので、当初の計画以上の多角的な研究を行っていく。 さらに2024年度からは、HSI受傷後の筋電図変化のデータをプロトコル通りに収集していく予定である。
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