研究課題/領域番号 |
23K16703
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
寶川 美月 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 博士研究員 (70967033)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヘプシジン / 遺伝子多型 / 鉄状態 / 鉄吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
同じようなトレーニングや食事内容にも関わらず、鉄状態が低い・高いといった個人差が存在する。鉄には生理的な排出経路は存在しないため、鉄状態は腸管からの鉄吸収量を調節するヘプシジンというホルモンにより制御されている。近年、ヘプシジン産生や機能を調整する遺伝子群におけるDNA配列の個人差(遺伝子多型)が鉄状態と関連することが報告されており、遺伝要因により鉄吸収能や適切な鉄摂取量を予測できる可能性がある。 本研究では、鉄吸収に関わる遺伝子多型群が、腸管からの鉄吸収に与える影響を明らかにするとともに、それらが体内の鉄状態やパフォーマンスと関連するか否かを横断・縦断的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、遺伝学的なアプローチにより①鉄吸収に対する遺伝要因が腸管からの鉄吸収能や酸化ストレスと関連しているか、②それら遺伝要因が鉄状態や競技能力の個人差に関連しているのかについて検討することを目的とした研究である。本年度は、「ヘプシジン制御に関与する遺伝型スコアと腸管での鉄吸収能および酸化ストレスとの関連」について検証した。まずは、昨年度までに作成したヘプシジン制御に関与する遺伝型スコア(4~6)を用いて、遺伝型スコアと鉄吸収能との関連解析を実施した。鉄吸収能は、先行研究および予備実験として実施した鉄吸収試験の結果に基づいて、鉄摂取2時間後の血清鉄の値から安静時の血清鉄の値を引いた値として評価した。その結果、遺伝型スコア間で安静時の血清鉄濃度に差はみられなかったが、鉄吸収能は有意差を検出するには至らなかったものの遺伝型スコアが高くなるほど低値を示した (遺伝型スコア4: Δ119.8 μg/dL, 5: Δ97.3 μg/dL, 6:Δ73.0 μg/dL)。現在までのところ、スコアによっては該当する対象者が少なくサンプルサイズが小さいため、次年度以降も引き続き鉄吸収試験を実施し、包括的な遺伝型スコアと腸管での鉄吸収能との関連を検討していく予定である。 次に、鉄吸収試験の際に採取した血清サンプルからタンパク質を抽出し、ウエスタンブロット法を用いて、血清中の酸化ストレスマーカー(SOD3やDityrosineなど)のタンパク発現量を分析することで、遺伝型スコアと酸化ストレスとの関連を検討した。各遺伝型スコア間でSOD3およびDityrosine発現量に有意な差は認められていないが、今後サンプルサイズを増やし、遺伝型スコアと酸化ストレスマーカーとの関連について明らかにしていく予定である。加えて、酸化ストレス状態を評価できる他の項目についても合わせて検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、「ヘプシジン制御に関与する遺伝型スコアと腸管での鉄吸収能および酸化ストレスとの関連」について検証を行った。初めに、鉄吸収試験のプロトコルを確定するために、摂取する鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム)の量や鉄剤摂取後の血清鉄濃度がピークに達するタイミングについて検討を行い、適切な鉄剤の量と採血のタイミングを決定した。また、血清鉄のピーク値と鉄錠摂取2時間後の血清鉄の値が強い相関関係にあることが確認できたため、鉄錠摂取2時間後の血清鉄値から安静時血清鉄値を引いたものを鉄吸収能として評価する方法を確立させた。現在のところ、遺伝型スコア間の安静時における血清鉄濃度に差はないが、鉄吸収能は遺伝型スコアが高くなるほど低くなる可能性を見出している。また、遺伝型スコアと酸化ストレスマーカーとの関連についても検討を開始しており、鉄摂取後2および3時間後において血清中の酸化ストレスマーカーには安静時と比べて変動が見られるが、その変動には個人差が見られることを確認している。 さらに、2年目で行う予定であった持久系アスリートにおける遺伝型スコアと鉄状態および競技力との関連についても新たにサンプリングを行い、前倒しで実験を進めることができている。すでに遺伝型スコアと鉄状態との間には、鉄摂取状況を加味しても有意な関連が見られるという結果を得ており、これらの成果は学術論文としてまとめていく予定である。 以上のことから、「ヘプシジン制御に関わる遺伝型スコアと腸管からの鉄吸収能との関連」については多少の遅れはあるが、次年度以降に行う計画を前倒しで進められていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度にプロトコルを確立させた鉄吸収試験を継続して実施し、十分なサンプルサイズを確保した上でヘプシジン制御に関与する遺伝型スコアと腸管での鉄吸収能との関連について明らかにする。また、持久系アスリートを対象として、遺伝型スコアとパフォーマンスとの関連について明らかにするために、競技レベルや陸上競技ごとの成績をスコア化したIAAFスコアを用いて、関連解析を実施していく予定である。
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