研究課題/領域番号 |
23K16704
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
金 芝美 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 助教 (00868177)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 加齢 / NAD+ / 定期的運動 / 認知機能 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症発症に伴う認知機能低下には補酵素であるNAD+の減少と、NAD+の減少による炎症性サイトカインの分泌増加に起因すると考えられている。一方、定期的な運動は加齢による認知機能低下の予防手段として用いられるが、運動の抗老化効果におけるNAD+の役割については未解明な部分が多く残っている。本研究では、加齢マウスにおける定期的運動がNAD+合成経路の律速酵素NAMPTを増加させ、これが血液を巡って脳内NAD+の増加に寄与するか検討する。そして、脳内NAD+の増加が、記憶・認知機能を担う海馬の炎症誘発性サイトカイン発現を抑制させることで、最終的に加齢に伴う認知機能低下の予防効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、加齢マウスにおける定期的運動がNAD+合成経路の律速酵素NAMPTを増加させ、これが血液を巡って脳内NAMPTおよびNAD+の増加に寄与するか検討する。そして、脳内NAD+の増加が記憶・認知機能を担う海馬の炎症誘発性サイトカイン発現を抑制させることで、最終的に加齢に伴う認知機能低下の予防効果をもたらす、という仮説を立て、脳の老化に対する運動の新規予防機序の解明を目指す。2023年度は、加齢マウスにおける定期的運動が循環血中のNAMPTを増加させ、これが血液を巡って脳内NAMPTの増加に寄与するかについて検討した。実験動物は20ヶ月の雌C57BL/6Jマウスを(各群12匹)用いて、これらのマウスを(1)非運動群、(2)非運動+FK866(NAMPT阻害剤)投与群、(3)運動群、(4)運動+FK866投与群の4群に分ける。(3)と(4)のマウスは暗記に個別のケージで週3回、自発性走運動を行わせ、(1)と(2)も同条件で運動は行わせなかった。運動開始前にはSaline またはFK866をそれぞれ腹腔内に投与した。これを4週間行なった時点で、Y字型迷路試験(短期・作業記憶)、恐怖条件付け試験(長期記憶)、オープンフィールド試験(活動性・不安様行動)を行なった。さらに、行動試験終了後、全てのマウスは採血後、麻酔下で海馬を採取してWestern blot法によりタンパク質やRT-PCR法によりmRNAを定量化した。その結果、運動群は加齢に伴う認知機能の低下を改善し、新規環境下での活動量が増加させ、不安行動行動を抑制させた。これらの結果は定期的な運動による循環血液へのNAMPT分泌の増加が、血液を介して海馬NAMPT増加して、結果的に加齢に伴う認知機能低下に予防・改善に寄与すると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年4月所属機関の変更があり、2023年4月から当初予定していた計画通りの実験が順調に遂行できる状況ではなかったため、本年度の進捗状況は「やや遅れている」判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度の同様条件で実験を行う。4週間の飼育後、全てのマウスは麻酔下で採血後に左心房より生食を灌流して脱血し、その後に脳を採取する。採取した右脳はNAD+/NADH Assay kitによりNAD+量を測定し、左脳はホルマリン固定後に切片を作製してミクログリア活性化のIba-1、 細胞増殖をKi-67免疫組織染色分析により評価する。得られた成果は国内発表と英文学雑誌への公表を目指す。
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