研究課題/領域番号 |
23K16735
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
三瀬 貴生 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (00740888)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | Scapular dyskinesis / ウェアラブルデバイス / ジュニアスイマー / 性差 / 外的負荷 / ウェアラブルセンサー |
研究開始時の研究の概要 |
成長期競泳選手における肩甲骨周囲筋群の機能不全が発生する要因を解明し、予防を目的とした成長期アスリートの新たなトレーニングプログラムの開発に寄与する。本研究の成果より、第3期スポーツ基本計画に含まれる成長期アスリートの安全・安心の確保やスポーツを継続したい子供が増加する社会の実現を目指す。
|
研究実績の概要 |
競泳など上肢を多用するアスリートでは肩甲骨周囲筋群の機能不全が出現し、肩関節障害の一因となる。このような機能不全は痛みなどの症状がない成長期競泳選手にも出現し、男子に多い事、発育・発達のピークを迎える前の年代で多いことが明らかとなっているが、その要因は解明されていない。本研究では、課題①として、トレーニング負荷の定量化し、立つ良く発達段階の違いで比較し、機能不全の出現との関連を検証すること、課題②として、成長速度の違いと機能不全の出現との関連を検証することを目的とした。本年度は課題①の内容について検証を進め、トレーニング負荷の定量化の試みと肩甲骨周囲筋群の機能不全の有無による生物学的年齢や形態および体格、身体組成、関節機能(関節可動域、肩甲骨周囲筋群の筋機能)の違いについて調査した。トレーニング負荷の定量化は、腕時計型ウェアラブルセンサー(Garmin Swim2、Garmin Ltd.)を用いて、水泳の練習中におけるストローク数のカウントについて、ウェアラブルセンサーによる測定値とビデオ動画による実測値との比較をおこない、その精度を検証している。400mの距離における検証実験では、検者間信頼性は0.6~0.7の間を示し、実測値との誤差が生じる可能性が考えられた。肩甲骨周囲筋群の機能不全を有する選手の特徴としては、男女ともに機能不全を有する成長期競泳選手は年齢が低く、形態および体格が未熟な傾向にあるが、練習量は同程度であったため、トレーニングの負荷が影響している可能性が考えられた。また、機能不全を有する男子は、競技力が低いことから、技術の低さが機能不全出現に関与している可能性が考えられた。一方、機能不全を有する女子は握力、肩甲骨周囲筋群が低いことから、筋機能の弱化が機能不全出現に関与している可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2年間で2つの研究課題を設定しており、本年度は一つ目の課題である「性別及び発育段階がトレーニング負荷と肩甲骨周囲筋群の機能不全出現に及ぼす影響」を検証することであった。トレーニング負荷に関しては、ウェアラブルセンサー(Garmin Swim2、Garmin Ltd.)を用いて、水中練習における練習距離、ストローク数、心拍数を記録し、定量化を試みた。実測値との信頼性については、旧モデルであるGarmin Swimでの検証は先行研究より明らかであったが、現在のモデル(Garmin Swim2)での検証は報告がなく、実測値との検証を進めている。これまで実測値との比較を進めているが、ストローク数の誤差は個人や練習日によってバラつきが生じていることを確認している。そのため、現在はストローク数に関して、個人の特性(個人差)を評価することの可能性について検証を進めている。ストローク数における個人差を検証できるのであれば、ウェアラブルセンサーの測定値をもって、肩甲骨周囲筋群の機能不全の有無による違いを検証することが可能になると考える。また、機能不全の有無による形態・体格、身体組成、関節機能(関節可動域、筋機能)の違いについては調査結果を得ており、機能不全を有する選手の特徴としては、男女ともに機能不全を有する成長期競泳選手は年齢が低く、Peak Height Velocity(PHV)年齢以前であり、形態および体格が未熟な傾向にあった。一方、機能不全を有する女子は握力、肩甲骨周囲筋群が低いことから、筋機能の弱化が機能不全出現に関与している可能性が考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
成長期競泳選手において、肩甲骨周囲筋群の機能不全を有する男子選手はPHV年齢以前であり、形態および体格で劣っているため、同じ練習距離でもストローク数が多くなり、トレーニング負荷が大きくなるという仮説を立てられた。今後はウェアラブルセンサーによる測定値が個人差を特定できる可能性を立証し、この仮説を検証していく。また、身長の増加による成長速度と形態および体格の変化、関節機能の変化を前向きに調査していく。特に女子の場合、機能不全を有する選手はPHV年齢を迎えており、筋力や筋機能の弱化がみられたため、発育・発達や初潮など女性特有の変化が影響する可能性が考えられる。肩甲骨周囲筋群の機能不全出現の有無によるそれらの変化を比較し、成長速度の相違、形態・体格や身体組成、関節機能の変化量の大きさとの関連性について検証し、機能不全出現の要因を明らかにしていく。
|