研究課題/領域番号 |
23K16746
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
鴻巣 暁 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任研究員 (80838483)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 予測的姿勢制御 / 大脳-小脳機能連関 / 逆モデル / 大脳小脳連関 / 数理シミュレーション / 内部モデル / 運動失調 |
研究開始時の研究の概要 |
身体を素早く正確に動かすために中枢神経系は予測的に姿勢を制御する必要がある。そこで、本研究ではラットの姿勢制御課題を用いて予測的姿勢制御の詳細な神経機構を解明することを目的として、以下2つの課題に取り組む。第一に、大脳皮質前頭領域および小脳虫部の神経活動の記録、コヒーレンス分析ならびに橋核ニューロンの阻害実験により、運動指令の生成における大脳―小脳連関の神経基盤を解明する。第二に、数理シミュレーションによる構成論的研究により、予測的制御の計算論モデルの1つである逆モデル(望ましい結果からその実現に必要な運動指令を計算する方法)の神経基盤を明らかにする。
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研究実績の概要 |
身体を素早く正確に動かすために、中枢神経系は予測的に姿勢を制御する必要がある。予測的姿勢制御は小脳に構築された内部モデル(運動指令と結果の対応関係)が大脳における運動指令の生成を神経修飾することで発現すると考えられ、計算論的モデルも提唱されているが、詳細な神経機構は明らかでない。本研究では「直立ラットの床傾斜外乱課題」を用いて予測的姿勢制御の詳細な神経機構を解明することを目的として、大脳皮質および小脳の神経活動記録により大脳―小脳連関の神経基盤を明らかにするとともに、予測的制御の神経基盤を数理シミュレーションによる構成論的研究により明らかにする。2023年度は、大脳皮質の神経活動記録において標的とする領域として、予測的姿勢制御の学習に重要な役割を担う大脳領域を決定する研究を推進した。着目した領域は前外側運動皮質(anterior lateral motor cortex; ALM)であり、この領域は条件付刺激を伴う運動パラダイムにおいて運動出力に先行する神経活動を豊富に示すこと、ならびに小脳における予測的な神経活動に必須であることから、近年、予測的制御に寄与する領域として注目されている。神経阻害薬ムシモルを両側のALMに投与したラットに外乱課題を行わせ、運動学変数を測定した。結果として、非投与個体と比べて学習効率が低下する傾向が観察されているが、阻害薬の投与量等の条件を統一することやサンプル数を十分確保することにより統計検定を行うことが、今後の課題として残される。また、ALMおよび小脳虫部の神経活動を記録するための電極の設計を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳皮質の神経活動記録において標的とする領域を決定するためALMを対象とした阻害実験を行い、予測的姿勢制御の学習効率が低下する傾向が観察されている。これは概ね想定どおりの結果である。大脳皮質を含む脳活動を計測するための電極は既に設計を開始しており、阻害実験を完了させた後の2024年度後半には計測を開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度に引き続きALMを中心とした阻害実験により予測的姿勢制御に中心的な役割を果たす大脳皮質領域を決定する。そのうえで当該領域の神経活動記録を実施し、コヒーレンス解析等により、脳領域間の予測情報の伝達メカニズムを明らかにする。また、数理シミュレーションによる構成論的研究により、逆モデル(望ましい結果からその実現に必要な運動指令を計算する方法)の神経基盤を明かにするため、ラットの立位姿勢および「モデル予測制御」をシミュレーションモデルに実装するとともに、小脳虫部障害実験の運動学データに対する最適化シミュレーションを実施する予定である。
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