研究課題/領域番号 |
23K16766
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中宿 文絵 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (50965887)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | p16 / ヒストン / 細胞老化 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
個体老化や細胞老化に伴い、CDK阻害因子p16の発現が増加することが知られているが、その意義は不明な点が多い。申請者は、p16レポーターマウスを作製し、樹立したマウス胎児線維芽細胞(MEF)の発現解析で、p16陽性細胞ではMEF特異的遺伝子群の発現が低いことを見出した。これらの遺伝子は、転写活性化ヒストンマークH3K27acによって発現制御されることから、細胞老化におけるp16発現の本質はエピゲノムの変化による細胞アイデンティティの低下であるという仮説を立てた。そこで本研究では、p16発現と細胞アイデンティティ関係をエピゲノムの観点から個体レベルで明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、細胞老化関連遺伝子であるp16を発現した細胞の転写的な特徴を明らかにするために、p16発現細胞をEGFPで標識するレポーターマウス(p16 Cre:mTmG)の老齢個体から肝非実質細胞を分取し、シングルセルRNA-seqを行った。その結果、類洞内皮細胞およびマクロファージにおいて、EGFP陽性細胞を検出することに成功した。我々はGEOに登録されているマウス類洞内皮細胞と肝マクロファージにおけるH3K27acのChIP-seqデータ(GSE154827, GSE63339) を解析し、H3K27ac近傍に存在する遺伝子を複数同定している。この遺伝子のリストと照らし合わせることで、ヒストン修飾で発現制御される遺伝子が、加齢とともにその発現が変化しているか検証することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p16レポーターマウスの老齢個体の肝臓から類洞内皮細胞とマクロファージをfluorescence-activated cell sorting(FACS)にて分取し、シングルセルRNA-seqを実施した。内皮細胞のマーカー遺伝子であるStab1を発現する類洞内皮細胞、Csf1rを発現するマクロファージを検出できた。これらの細胞集団にはEGFP陽性細胞が含まれていた。今後、EGFP陽性細胞と陰性細胞の遺伝子発現を比較することで、p16を発現した細胞の転写状態を明らかにできると考えられる。当初の計画では、上記の解析は2年目に行うことを予定していたが、計画を変更した。1年目に実施予定の実験は今年度実施する予定であり、進捗に影響はないため、おおむね順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に取得した老齢マウス肝臓のシングルセルRNA-seqのデータを用いて、EGFP陽性細胞と陰性細胞を比較し、発現に差がある遺伝子を抽出する。上記の遺伝子とH3K27ac近傍に位置する遺伝子のリストを比較し、加齢に伴いヒストン修飾で制御される遺伝子発現に変化があるか調べる。
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