研究課題/領域番号 |
23K16773
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
神田 努 鳥取大学, 医学部, 助教 (50791430)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 活性イオウ種 / 活性イオウ / 大腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患 (IBD)マウスの粘膜では、活性酸素種や活性窒素種などの濃度上昇がみられ、それらによって発生する親電子物質に起因する細胞毒性が炎症を誘導すると考えられている。近年この親電子物質に対し、解毒に働く新たなレドックス制御因子として活性イオウ種が注目されている。応募者は活性イオウ種を生成する酵素 (CARS2)の活性低下により活性イオウ種が減少し、親電子物質が蓄積した結果、IBDが発症するという仮説を立てた。そこで、ヘテロ欠損であるCARS2(+/-)マウスを用い、CARS遺伝子発現とIBD発症との関連を明らかにすると共に、活性イオウ含有飼料により症状の改善を試みる。
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研究実績の概要 |
活性イオウ種の生産が少ないCARS2ヘテロ欠損マウスを用いて、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を投与しその酸化ストレスによりIBDを誘導するための条件を検討した。その際、体重の増減及び血便の有無を指標としたが、今まで通りの3%MSMを5日間投与すると、その後に水を与えた対照群の死亡率が高かったため、DSS投与濃度及び投与期間について再検討し、体重減少や血便は認められるが、死亡率は低く抑えられる条件を決定した。また、DSSによるIBD誘導後に、活性イオウ種の材料であるメチルサルフォニルメタン(MSM)を投与して症状の改善を試みた。その際、MSMの保留量が限られていたため、2.5%を1週間投与する条件のみに絞って検討した。その結果、MSMの投与により、DSSで誘導された体重の減少に軽減効果が確認された。さらに、MSMの効果を液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析機(MS)で評価するために、活性イオウ種の各標準物質の作製及び精製を進め、ほぼ完了した。具体的にはシステイン、グルタチオン、硫化ナトリウム及び亜硫酸水とSodium disulfide (Na2S2)を反応させ、パースルフィイドやポリスルフィドを合成し、その後に、β-(4-hydroxyphenyl) ethyl iodoacetamide (HPE-IAM)により誘導化を行い、安定化させた。そのサンプルをLC-MSによって溶出時間を確認して、各LC画分を得た。最後に各画分の濃度をHPE-IAMの吸光度を検量線とし、決定した。さらに、マウス大腸を回収し、その大腸組織に含まれる活性イオウ種の測定を実施し、測定可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していた、DSS投与の条件検討は完了したが、病理診断的な評価、活性イオウ種や酸化ストレスマーカーの測定は未実施である。しかし、次年度に予定していたメチルサルフォニルメタン (MSM)の投与による症状の改善効果が確認できたため、全体的なスケジュールとしてはおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様にCARS2ヘテロ欠損マウスを用いて、DSSを投与しその酸化ストレスによりIBDを誘導する系を用い、さらにN数を増やしてデータの信頼性を高める。同時に病理診断的な評価及び比較を行う。さらに活性イオウ種及び酸化ストレスマーカーを測定し比較する。MSMの再入手を行い、さらに高濃度で投与することで治療効果を高めることも検討する。
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